COVID-19の影響で、トリプルヘッダー開催となったBSB
昨年度王者のスコット・レディング(ドゥカティ)が、2020年はドゥカティでSBK(世界スーパーバイク選手権)参戦となったため、2020年のBSBはディフェンディングチャンピオン不在のシーズンとなりました。そして2020年シーズンは昨年5ポイント差という僅差の2位に甘んじた、レディングのチームメイトで日本でも鈴鹿8耐での活躍などで知られるジョシュ・ブルックスが、2020年のタイトル争いの軸になると予想するファンは少なくなかったでしょう。
一方2019年シーズンはアンドリュー・アーウィンが年間8位(1勝)、シャビ・フォレスが同9位と不本意な成績に終わったホンダは、最新のCBR1000RR-R Fireblade SP(SC82)を2020年シーズンに投入! 2013年以来(アレックス・ロウズ)となるBSBタイトル獲得に挑戦しました。
本来の計画では、英国のSC82レースキャンペーンはBSBやナショナルSTK1000だけでなく、大人気のリアルレーシング(公道レース)のマン島TTレースやノースウェスト200が含まれていましたが、周知のとおりこれらのイベントはCOVID-19感染拡大の影響でキャンセルに・・・。またBSBをはじめとする英国選手権のカレンダーも大幅な変更を強いられることになりました。
紆余曲折を経て、今年度のBSBは1大会で3レースを行う"トリプルヘッダー"方式となり、8月7〜9日のドニントンを開幕戦として設定。10月16〜18日のブランズハッチが最終戦となる、全6ラウンドで王座を争うことになります。
開幕戦では見事な勝利!! しかしライバルのドゥカティ勢も強し!!
迎えた開幕戦・・・その結果はホンダとしては最高のものになりました。最初のレース1は、アーウィン兄弟とドゥカティのJ.ブルックスとのバトルになりましたが、18周目に兄弟は先頭のブルックスをパス! 最終周、弟アンドリューが兄グレンを0.119秒の僅差で退けて自身BSB通算2勝目、そしてホンダCBR1000RR-R Fireblade SPのBSBデビューウィンを、1-2フィニッシュで飾りました!
開幕戦のレース2でも、アンドリューは兄グレンに0.194差をつけて連勝!! アーウィン兄弟の1-2ハットトリックなるか? が注目されたレース3では、残念ながらアンドリューは失格処分となりましたが、グレンは2位に入賞。この結果、60ポイントでグレンがランキング1位、アンドリューが50ポイントで同2位と、ホンダにとっては幸先の良い開幕戦になりました。
第2戦スネッタートンでは兄グレンがレース2で2位、レース3で今シーズン初優勝を記録。一方弟アンドリューはレース1、2をノーポイントで終えるなど安定感に欠く内容でした。この傾向はシーズンを通して続き、兄グレンが最終第6戦ブランズハッチを迎える前までのレースで、ノーポイントに終わったのはわずか2レースに対し、弟アンドリューはランキング首位のJ.ブルックスと同じシーズン最多勝の3勝を記録しながらも、ノーポイントレースが5レースともったいない結果になっています。
最終戦直前の年間ランキングは、J.ブルックスが3勝・225ポイント獲得で首位。ブルックスのチームメイトのC.イドンが1勝・209ポイントで2位と、ビジョントラック・ドゥカティが1-2体制を築いています。一方ホンダ・レーシングは兄グレンが1勝・207ポイントで3位につけ、最終戦での逆転タイトルに望みをつないでいます(弟アンドリューは、3勝・139ポイントで7位)。
昨年まで7度のBSBタイトルを制覇した名門チームに属し、ミルウォーキー・ヤマハ在籍時の2015年にBSB王者に輝いた経験を持つブルックス相手に、果たしてグレン・アーウィンがどのような最終決戦を挑むのか? タイトルの行方がかかった10月16〜18日のブランズハッチに注目したいです!
スーパーストック1000も、ランキング2位で最終戦を迎えます!
今シーズンデビューのホンダCBR1000RR-R Fireblade SPが戦う、もうひとつの英国タイトルであるナショナルSTK1000は、トム・ニーブとダベイ・トッドの両名がライダーに起用されています。開幕戦ドニントンでは、BSBでアンドリュー・アーウィンがデビューウィンを飾ったように、T.ニーブが見事にSTK1000デビューウィンを成し遂げました!
BSBと異なり、STK1000はスネッタートンが1レース開催で、ほかの4大会が2レース開催というスケジュールで最終戦まで行われました。その中でT.ニーブは最多の4勝を記録しましたが、2勝止まりも安定感に勝るクリッシー・ローズ(BMW)が165ポイントでランキング首位をキープし、T.ニーブは2位に甘んじている状況です。
ランキング首位との差10ポイントで最終戦ブランズハッチを迎えるT.ニーブですが、3レースあるBSBと異なりSTK1000はトータル10戦目となる1つのレースしかありません・・・。BSBにおけるCBR1000RR-R Fireblade SPの戦い同様、STK1000でも逆転タイトルを手にするのには容易な状況ではありませんが・・・2つの英国タイトルをデビュー年に獲得できるか? ホンダ・レーシングのCBR1000RR-R Fireblade SPの戦いに注目しましょう!