TYPE Rとは?
Hondaエンジニアたちが思うスポーツスピリッツの結晶として誕生したTYPE R。
1992年にNSXをベースに生まれたNSX Rを皮切りに、95年にINTEGRA TYPE R、97年にはCIVIC TYPE Rが誕生。その後2015年まで、ベース車両のモデルチェンジごとにTYPE Rは生まれ、多くのファンを獲得してきた。
そんな長い歴史のなかで、これまでとは大きく異なるモデルが、2017年に発表されたCIVIC TYPE Rである。
アルティメイトスポーツ・コンセプト
2017年以前のTYPE Rは、すでに存在したベースモデルを枠として、より運動性能を強化。それはある意味、日常の快適性や居住性を引き換えにした速さであった。
量産スポーツとしての速さ、日常性能の限界……これらを噛みしめながら開発してきたエンジニアたちは、これまでの作り上げてきたTYPE Rの歴史を頑なに守るのではなく、これからの時代にあるべきスポーツカーを創造することを決意。
そうして生まれたのが、ベースモデルと“同時開発”で生まれた2017年のCIVIC TYPE Rだ。そのコンセプトは「スポーツカーの枠を超えた“Ultimate Sports”」。発表当初こそ価格やデザインに賛否両論あったものの、これまでに存在しなかったスポーツカーとしての価値、完成度の高さで世界各国のメディアから賞賛され、以降、数々の競合車が登場するも今日まで評価され続けている名車である。
しかし、それに甘んじるHondaではないことはファンもご存知の通り。
2020年夏、新しくなったCIVIC TYPE Rが世界中を駆け巡る!
サーキット性能の進化
今回のCIVIC TYPE Rは、細かい改良を加えたマイナーチェンジ。しかし、そこはHonda。ただのマイナーチェンジとは一味も二味も違う改良を加えてきた。
エンジン冷却性能の向上
エンジンパフォーマンスをより発揮できるよう、フロントグリルの開口面積を拡大(現行比+13%
)。ラジエターフィンピッチは現行の3.0㎜から2.5㎜に変更し、放熱性を向上させた。
これにより、サーキット走行下では最高水温差約-10℃を実現。
空力性能のチューニング
フロントのエアスポイラーは、底面の形状を変更し、サイドにリブを追加。これにより、現行モデルと比べ、タイヤ前負圧が増加しフロントリフトの低減に貢献。
グリルを拡大したことでフロントのダウンフォースは減少したものの、上記改良を加えた結果、現行モデルと同等以上のダウンフォースレベルを実現した。
ブレーキ性能の進化
現行では1ピースディスクであるが、2020年モデルには2ピースディスクを採用している。
2ピースにしたことで高速ブレーキにおけるディスク倒れが大幅に減少。連続走行でのペダルストローク・踏力変化を大幅に低減した。
一体感とダイレクト感の進化
走行性能の特化はもちろんだが、ドライバーとの一体感があってこそ生かせるというもの。
ハンドリング性能の向上
ロール、ピッチの姿勢制御を担うアダプティブ・ダンバー・システム制御のアップデートに加え、サスペンションの追従性を向上させるロアボールジョイントフリクションの低減、タイヤの支持剛性を高め、接地感・ダイレクト感を向上させるコンプライアンスブッシュの高減衰化など、通常のモデルチェンジでは手を入れない領域も細かく調整。
これによりコーナーアプローチから脱出に至るハンドリング性能、荒れた路面などでの接地性・制振性が向上。街乗りから高速、ワインディングからサーキットのドライビングを含め、あらゆるシーンで一体感とダイレクト感を味わえる仕上がりとなっている。