ワークス勢を尻目に、第2ステージで優勝したダカール2年目のプライベーター
HRC(ホンダ・レーシング)とKTM/ハスクバーナのワークスライダーが熾烈な争いを繰り広げている近年のダカールラリー2輪部門ですが、1月6日の第2ステージでは世界を驚かせる波乱? がありました。
なんと、ボツワナ出身の33歳・・・プライベーターとしてダカールラリー参加2年目のロス・ブランチが、ステージ優勝常連のワークスライダーたちを相手に健闘し、ステージ優勝の栄誉を手中におさめたのです!
しかし、第3ステージでは大きな試練が彼を待ち受けていました・・・
第2ステージを優勝したため、翌日の第3ステージはトップでスタートしたR.ブランチ。誰もまだ走っていないコースを先頭で走る喜びを彼は満喫することができました。しかしそんな喜びが続いたのは、88km地点までのことでした・・・。
転倒のダメージにより、呼吸をしているだけでも体の痛みを感じる状態にもかかわらず、R.ブランチはマシンを第3ステージのゴールへ運ぶことに挑み続けました・・・。しかし彼を待ち受けていた試練は、この体の痛みだけではなかったのです・・・。
SSが427kmという長丁場のスーパーマラソンステージで、次々とR.ブランチを襲う不運・・・。400mといえ、動力伝達方法を失ったラリーバイクを砂の上で押し進めることがいかに困難なことかは、オフロードにあまり縁のない方でも容易に想像できるでしょう・・・。
この400mは、人生でも最もハードな場面だったとR.ブランチは振り返ります。そしてブランチを助けたF.モタは「これがダカールさ、違うかい? 良い時も悪い時も、我々は皆友達さ。(立場が逆でも)彼は私を同じように助けてくれたと信じている」とカメラに向かってコメントしました(←超カッコイイ!)。
この美しい競技者同士の友情を、ぜひ動画でご覧ください! なお第10ステージを終えた時点で、R.ブランチは23位、F.モタは31位のポジションにつけています。残る2ステージを2人が無事走り切り、完走の喜びを分ち合えることを期待したいです!
ワークス勢の優勝争いばかり報道することに、ついつい熱心になってしまうのが我々メディアの常ですけど、取り上げるべきモータースポーツの魅力ってのは、「そこだけに」あるわけではないのですね・・・と再確認させていただきました。
気づきに感謝(笑)。なにはともあれ、モータースポーツ万歳! と思わせてくれるちょっといいエピソードでした。