愛せるバイクの条件は性能じゃない
バイク選びは理屈じゃありません。
個人的な感覚かもしれませんけど、そのバイクにすべてを捧げられるほどに『愛せるかどうか』こそが大事。
そういう意味で、ボクは久々にすごいバイクに出会ったように思います。
それがアメリカ最古のブランド『インディアン』のスカウト ボバー トゥエンティ。
1920年製の初代スカウトへのオマージュが込められたファクトリーカスタムです。
このバイク、置いてあるだけで『圧』がすごい……
徹底的にロー&ロングに抑えられたスタイリングの中でこそ際立つミニエイプハンガーバーの存在感。
でも地を這うようなスタイルなのでパッと見はそれほど『デカいバイク』じゃないんです。
なのに……目が離せない、とはこのこと。
綺麗で、完璧だと思いました。
ボクは元々アメリカンクルーザー系が好きでバイクに乗り始めたのですが、このバイクにはもうほとんどカスタムする余地が見当たらないです。
クラシカルなヘッドライトナセルとサドルシートに加えて、ショート化されたリアフェンダー。
すべてが『ボバースタイル』として秀逸なセンスで整えられています。
理想的だと言ってもいいです。
このバイクなら、手に入れた瞬間から最大限の愛を注げる。
それほどまでに『カッコよさ』が完成されているんです。
ホンダの『レブル250』と5mmしかシート高が変わらない!?
そして跨ってみて、さらに驚いたのが足着き性でした。
足着き性が良いとか悪いとかをうんぬんするレベルじゃないです。
スリムなボディに695mmのシート高は、排気量1000ccオーバーのバイクの中では世界一の足着き性だと思う。
だって女性にも人気のホンダ『レブル250』と5mmしかシート高が変わりません。
身長155cmの女性ライダーでも確実に安心なレベル。
……なのに、男らしさが極まっています。
しかも重心がものすごく低くて、取り回しが異様に軽いんですよ。
スペックを見たら車両重量265kgって書いてあって逆に驚きました。
体感的には220kgくらいだと思っていたんです。
一般的にこういうハンドルのバイクは、取り回しがめちゃくちゃ重く感じるはずなのに……
こういうバランス感とか、ボクとしてはさりげなくメーカーの技術力を感じるポイントです。
そもそもインディアンの『スカウト』って?
ちなみに軽くおさらいすると、インディアンっていうのはアメリカ最古のバイクメーカーのこと。
実はハーレーよりも歴史が古くて、インディアンモーターサイクルとして第一号のバイクを販売開始したのがは1902年になります。
翌年の1903年にはチーフエンジニアのオスカー ヘッドストロームが当時の世界最高速となる56マイル(時速90km)を叩き出し、その後も数々の新記録を達成。
今ではアメリカンクルーザーのアイコンにもなっているVツインエンジンだって、1907年のインディアンが搭載したのが初めて。
歴史を紐解けば、相当すごいメーカーなんです。
【インディアンの歴史をもっと詳しく!】
そして1920年に生まれたのがインディアン スカウト。
このバイクが速く、乗りやすく、壊れないことでベストセラーとなり、ここを起点としてインディアンは飛躍的に成長を遂げていきます。
その歴史を作った名車こそが、今回のスカウト ボバー トゥエンティの原点。
車名のトゥエンティは『1920年』の20です。
このバイク、最高のストーリーを背景に持ったバイクだっていうことですね。
インディアンは『見た目だけ』じゃない
そして、歴史が証明するようにインディアンのバイクは、単なる『クラシック』じゃないんです。
いつだって“高性能であること”を重視してきた歴史的な背景がある。
信じられないけれど、それはスカウト ボバー トゥエンティにも同じことが言えるんです。