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オーバーホールをこの目で見るために愛知県・尾張旭市へ…!
その前に:オーバーホールとは
エンジンを部品単位まで分解して部品一つ一つを洗浄、清掃をして、使用限度を超えた部品や損傷した部品を新品部品に交換して、再び測定調整をしながら組み立てて新品に近い状態に近づける作業のこと。
もっと詳しく知りたい方は、元無限ホンダF1エンジン設計者でもあるHonda Cars 野崎の松本店長による永久保存版解説記事をこちらからどうぞ!
BILSTEIN製のショックアブソーバーのオーバーホールを依頼したのは、20年前にオーダーして製作してもらったエナペタル。ここは、ドイツ本国からBILSTEIN純正の部品が供給される、正規に認定されたファクトリーだ。
エナペタルでは熟練したエンジニアが、精度の高いBILSTEINの純正部品を使って一本一本手作業で組み立ててくれる。精度の高いパーツが組まれてるからこそ、その性能を維持するために定期的なオーバーホールを推奨してるんだ。
ちなみに、エナペタルが推奨するオーバーホールの時期は、ストリート中心で3万km。ボクのCR-X、前回オーバーホールしたのは2010年で、しかも25万km位は走っている。こんな距離まで、オーバーホールし忘れたコトを大いに反省しなきゃいけないね。
まだまだ残暑が厳しかった9月の上旬。オーバーホールの取材をするためにエナペタルのある尾張旭市へ向かう。早朝というか、夜が明ける前の未明に東名高速を西へCR-Xを走らせる。陽が昇ると、とても暑くなりそうだったから、なるべく気温が上がる前に移動するという目論見だ。
未明にしては、想定外に交通量が多いけど、豊田JCT手前の岡崎SAまで一気に走って、ここで休憩。陽が出てきて暑くなってきたけど、エナペタルまではあとチョットだから、まぁ問題ないね。途中、時間調整しながら約束の時間にエナペタルへ到着。
CR-Xから取り外したBILSTEIN製のショックアブソーバーは事前にエナペタルへ送ってあり、ある程度の分解をしてもらっている。
しかも分解されてるだけじゃなく、塗装が傷んでたケースはブラストによって処理され、キレイな梨地の肌になっていたんだ。ブルーの塗装が剥がれてウッスラと錆てたのがウソみたいだ。
ではまずはリアショックアブソーバーから説明していこう。長い棒状の部品がピストンロッド。新品のロッド(上の写真・右)と今まで使い込んできたロッド(左)を並べると、今まで使い込んできたロッドは、メッキが薄くなって黒ずんでるのがわかるよね。
ちなみにBILSTEINのピストンロッドは14Φで、ホンダ純正のロッドは12.5Φ。BILSTEINは1割ほど太くなっている。分解したパーツを載せたお皿(上の写真)には、何故か3本あるんだけど、一番上のは今まで使い込んできたパーツで、下の2本がこれから組み付けるBILSTEIN純正の新品部品。
黒い円盤状のモノはピストンバルブと呼ばれ、ショックアブソーバーの減衰力特性を決める重要なパーツなんだ。
新品に交換するロッド以外の内部を構成しているパーツは、ひとつひとつ洗浄されて再使用される。ていねいにブラスト処理されたリアのケースには、車高調整用に溝が5本刻まれている。オーダーによっては溝を増やことも可能だけど、ボクにはその必要がないのでこのまま。
ショックアブソーバーを構成しているパーツは以上のとおり。これらのパーツを組み込んで最後に窒素ガスと専用オイルを同時に注入すれば完成するわけだ。今回ボクのはケースも塗ってもらうので、組み上がった後に専用ブースでウレタン塗装するっていう工程が加わるんだけどね。
オーバーホールの推奨時期をとっくに過ぎていたけど、リアの交換部品はピストンロッドだけで済んでひと安心。問題は、オイルが滲んでいた右フロントなんだけど、それは次回以降に。