レース1は各ドライバー達の高いポテンシャルを垣間見た
今年も実力者揃いとなったF2シリーズ。開幕戦レース1ではニコラス・ラティフィ(DAMS)が完勝、3位にはスタートで出遅れたものの、見事なリカバリーをみせたセルジオ・セッテ・カマラ(DAMS)が入り、DAMS勢の強さが光りました。2位に入ったルカ・ギオット(UNI-VIRTUOSI RACING)は、予選でポールポジションも獲得、クラッチトラブルでスタート直後に順位を落とすも、華麗なオーバーテイクショーを披露し速さをみせました。
4位にはルーキー勢最上位フィニッシュとなった去年のGP3王者であるアンソニー・ユベール(BWT ARDEN)。予選11位からの追い上げで存在感をみせました。GP3時代、安定感抜群でポイントの取りこぼしがなかったユベールでしたが、優勝がなくGP3に残ることになりました。しかし昨年優勝も達成し、安定感に速さが加わり見事GP3王者になりました。今回の後方からの追い上げも、昨年見せた速さと同じく、大きなアピールになったと思います。シーズン終了時にユベールのランキングがどこになるのか非常に楽しみです。
注目のミック・シューマッハ(PREMA RACING)は予選10位からのスタートで8位フィニッシュ。レース2はポールポジションからのスタートになります。タイヤに苦しみ8位につけていた松下信治(Carlin)をファイナルラップで捉えたわけですが、何か持っているなといった印象を受けました。重要なタイミングに重要なポジションにいることは大切で、チャンスを逃さなかったシューマッハ。レース2のスプリントレースではF2の猛者達からトップを死守することができるのでしょうか?
F2初の女性ドライバーとなったタチアナ・カルデロン(BWT ARDEN)。去年ARDENから参戦していた福住仁嶺がポテンシャルの低いマシンに苦労したこともあり、彼女の活躍はマシン、チーム次第と考えています。予選でもカルデロンは19位に沈み、決勝でも我慢の走りとなりました。
しかし、決勝ではタイヤマネージメントをしっかりとこなし、誰よりもピットストップを遅らせ終わってみれば13位でフィニッシュ。カルデロンはF2でもポテンシャルの高さを示すことが出来たと言ってよいでしょう。ポイント獲得には運も必要になってくると思いますが、チームメイトのユベールの活躍もあるのでポイントは獲っていきたいところです。
前半からタイヤを使いすぎてしまい、早めのピットインを強いられた松下。その結果第2スティントで余裕の走りが出来なくなりました。タイヤマネージメントが課題となりましたが、バトル時の動きに今シーズンの意気込みを感じることが出来ました。
F2、ヨーロッパならではの容赦のないブロックでポジションを守り、抜かれる場合でもただ抜かされるのではなく、「簡単には抜かせないぞ」というアピールがしっかりと示せていました。F2の参戦経験が活きていると感じる部分でもありますが、結果を残さなければいけない重要なシーズンにかける思いが伝わってくるレースでした。速さだけではなく、経験もある松下は間違いなくトップに立てるポテンシャルを秘めた選手です。シーズン通して松下の活躍には目が離せません。
今年はレース全体はもちろん、ドライバーそれぞれの走りに注目してレース観戦してみると面白いと思います。それは参戦ドライバーが皆レベルが高く、どこを切り取っても面白いレースが繰り広げられているということです。注目していた選手がF1で活躍する、なんて日が近いかもしれません。
L.ギオットが完璧なレース運びで優勝!DAMS勢がまたしても表彰台獲得!
23周で行われるレース2はタイヤ交換義務なしのスプリントレースです。予選順位はレース1のリバースグリッドでシューマッハがポールポジション、2位にジャック・エイトケン(CAMPOS RACING)、3位にニック・デ・フリース(ART GRAND PRIX)というトップ3となりました。
スタートでは各車順当にスタートするも、後方でマハーヴィーラ・ラフナサン(MP MOTORSPORT)がコース上でストップしてしまいました。
オープニングラップから激しい展開に。ルイ・デレトラス(Carlin)、エイトケン、デ・フリースが接触しコースオフ。しかしコースに復帰し、接触によるペナルティーもありませんでした。
3周目、シューマッハの背後に迫るのは2台のDAMS勢。しかし今週末好調のギオットが3位のラティフィをパス、2位のセッテ・カマラがシューマッハをパスした後に、ギオットもシューマッハを攻略し2位に上がります。
ギオットの勢いは止まらず4周目にセッテ・カマラをパスしトップに浮上、差を拡げていきます。
8周目、後方でファン・マヌエル・コレア(SAUBER JUNIOR TEAM BY CHAROUZ)とジョーダン・キング(MP MOTORSPORT)が激しいバトルを展開。お互い抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げるも、クロスラインを取ろうとしたコレアがキングのリアに追突しフロントウィングとタイヤにダメージを負ってしまいました。コレアはピットインしフロントウィングとタイヤを交換しコースに戻っています。
10周目に松下がピットインしタイヤを新品に交換。レース1でタイヤの性能が一気になくなってしまったため、レース2でもタイヤ交換を選択しました。
その後、ギオットやデ・フリースもタイヤを交換しますが、トップのDAMS勢はステイアウトし先頭をキープします。
ピットインで順位は落ちたものの、ニュータイヤで追い上げるギオットは残り2周でついに2位のラティフィを攻略。さらにセッテ・カマラもパスし再びトップへ。
最終的には2位のセッテ・カマラに5秒差をつけ、ギオットが見事優勝!2位にはセッテ・カマラ、3位にラティフィが入り、表彰台はレース1と同じ顔ぶれとなりました。
4位にはタイヤマネージメントをしながら見事な追い上げを見せた周冠宇(UNI-VIRTUOSI RACING)が入り、ポールポジションスタートのシューマッハもスタートしたタイヤを労わりながら6位でフィニッシュ。松下は12位で惜しくもポイント獲得とはなりませんでした。
レース2決勝結果
レース1、レース2共に速さを見せたギオット。もともとミスが多いドライバーでしたが、今回は速さだけではなく、作戦もマネージメントも完璧でした。純粋な速さは頭一つ抜け出した印象を受けました。
そしてDAMS勢の活躍も光りましたね。結果タイヤ交換したギオットに敗れてしまいましたが、タイヤ交換なしでトップを最終盤まで維持し続けたDAMSのふたりもギオット同様一皮剝けたのではないでしょうか。
そして今回はタイヤに苦しめられた松下はレース1でポイントを獲得しました。レース中はタイヤをロックする場面が何度か見られ、タイヤのマネージメントが課題と言えます。今回はスタート直後からギアボックスに問題があり辛い週末となりました。
ただ、今回はトラブルが原因ということですから、気持ちを切り替えて次戦に臨んでほしいと思います!