ん? シリンダーヘッドが前に向いている??
CYCLE WORLDの報道によると、スズキがこのモーターサイクルの「パッケージング」に関する特許を出願したのはつい最近とのことです。
出願された特許の図を見ると、ツインスパーのフレームの間にエンジンのシリンダーがあることがわかります。そして、35、36、37にクランクシャフト、そしてギアボックスの2軸が描かれていることが推察できます。興味深いのはスイングアームピボット(38)が前寄りで、一般的なモーターサイクルよりもスイングアームが長くなっている点です。
このレイアウトのメリットは、ショートホイールベースながら長いスイングアームでハンドリングが良くなること・・・。またサスペンションの動きによる、ジオメトリーの変化が少ないこと・・・と出願資料には記されています。
ん? 昔似たようなエンジンの配置を見たような?
一般的なエンジンの搭載法からすると、それをひっくり返して積むようなレイアウトは、かつてフサベルが実用化したことがありました。
海外オフロードバイク業界の再編で消滅したフサベルですが、アップサイドダウン(倒立)とも言うべきそのユニークなレイアウトは、ジャイロ効果を発生させるクランクシャフトを、車体の重心に寄せることがその採用の理由でした。
一方、このスズキの特許は、ホイールベースの短縮化と長いスイングアームが使えることが一番の目的となっているのが特徴です。さらに、後方排気のレイアウトにすることで、クランクケースの下側に排気系をまとめることで、マスの集中化も図ることを可能としてます。
ただ、スズキの特許のこのレイアウトを採用できるのは、単気筒か並列2気筒に限られるような気もします。そして、特許の図の「S」の領域は水冷用ラジエターを収めるにはちょっと狭そうなので、空冷にするかサイドラジエターにしないと、商品化は難しそうにも思えます。
さらに、通常の燃料タンク位置にあたる「43」はEFIのインジェクターとエアクリーナーボックスに使われるでしょうから、燃料はシート側に搭載することになるようです。
まぁ世の中には特許は取ったものの、商品化して世に出ることはなかったものは多々あります。この特許が具現化することは、ひとりのモーターサイクルファンとしてはドキドキワクワク期待しちゃいますが、それは実現するとしてもだいぶ先のことになるでしょうね。もしその日が来るのであれば・・・という期待を抱きつつ、どんなモーターサイクルになるのか妄想を楽しみましょう。