聞かせてください! 電動バイクってどう思います?
来年の夏~秋ごろに日本企業となったアディバがフル電動の3輪バイクを投入する予定です。
こちらがそのプロトタイプとなるAD1-Eの試作車なのですが、まずは質問!
バイクに電動って必要だと思いますか? それともいらない?
必要だと思う、そうではないと思う。
判断する理由は人それぞれだと思いますが、まずはみなさんの「今」の率直な心境を教えてください!※クリックすると投票結果がご覧になれます。
投票ありがとうございます!
来年発売予定のプロトタイプに乗ってみた
このAD1-Eはガソリンエンジン車のAD1-200をベースに電動化された完全なプロトタイプですが、既にナンバーも取得済みで公道走行が可能な状態でした。
ちなみにわたくしロレンス編集部のキタオカ、ここ何年も純粋な電動バイクには乗っていません。
正直、過去に乗ったときはまだまだ実用化には遠いと感じたからです。
ですがアディバの人から『昔とは全然違いますよ。バイクも進化したし、環境も違いますから』と言われて、すこし興味が出ました。
この試作車AD1-Eはアディバの人がいわく『何をしても100kmくらいの距離は走れます』とのこと。
しかも家庭用100V電源で普通に充電できる仕様だったので、久々に乗ってみることにしたんです。
驚きの「逆スロットル」操作!?
AD1-Eの最高出力は15kw(20.4馬力)で、ベースとなるAD1 200の14kw(19馬力)をすこし上回ります。
驚いたのはAD1が重量204kgなのに対して、重い電池を積んでいるはずのAD1-Eが22kgも軽いことでした。
これは「完全にバイク専用として設計した」ことにより、エンジンが無くなり、インホイールモーターの採用や二輪専用設計の軽量な電池の恩恵らしいです。
インホイールモーターはバネ下重量が増加により、サスペンションの動きを阻害するとしてクルマの世界では微妙なポジションです。
でも、AD1-Eを見て思ったのはスクーターの場合、どうせ後輪にエンジンが直付けなんだから同じだよなということ(笑)
本当の意味で「エンジンがモーターになっただけ」ですね。
そんなことより驚いたのはコレです!
当たり前のことですが、スロットルを閉じた状態からグリップを捻って開けていく。こうしてバイクを加速させます。
でもアディバのAD1-Eはそれだけじゃありませんでした。
なんと! スロットル全閉の状態から奥側にスロットルが回るんです。
これによってまず……
停止状態からはバックができます。素直に、かなり便利でした。なるほどこれは電動モーターならでは技です。
なんだかスロットルの誤操作を心配しちゃいそうですけど、バイクに慣れた人ならまず心配ないと思える操作感でした。
でも、まだそれだけじゃない!
走行中に逆スロットルを入れると回生ブレーキ状態になるんです。
リア側がギューンと適度に引っ張られる感じ。大きく逆スロットルすれば強く回生ブレーキがかかり、すこしの操作なら軽いブレーキとなります。
これが……すごく楽しい!
慣れてくると、コーナリング中にリアタイヤへ回生ブレーキで荷重をかけられます。ブレーキレバーを使わずにスロットル操作だけでリア荷重が完結するんですよ。
この走りは新しいと感じたし、純粋にコーナリングが面白い。ものすごく未来感のある走りでした。
ちなみに信号が赤になったら、回生ブレーキだけで停止することも充分にできます。ライダーがすぐに馴染めるよう、ものすごくテストを重ねられたであろうフィーリングに驚きました。
この3輪は未体験ゾーンです
そして、アディバのADシリーズはフロント2輪です。なのでフロントタイヤの接地感がかなり強い。
ちなみにサスペンションは「インディペンデント・クワトロ・ウィッシュボーン」という独自の方式で、四輪車のスポーツカーなどに採用されるダブルウィッシュボーンに近い仕組みです。
この方式はアディバ独自のものですが、これがまた新しい走行フィーリングでした。
接地感がクルマに似ているんです。車体を傾けて曲がるのはバイクと同じなんですが、タイヤが踏ん張っている感触が四輪車っぽく感じられます。
複雑なリンクを介することで、ショックアブソーバー単体の性能だけに頼らない。だから作動性も良く快適です。
しかもフィーリングがなんだかスポーティなんですよ。オートマのスクーターなのに(笑)
ちなみにこの機構ですが、前輪ブレーキを握るとこんな芸ができます。
機構的にそういう特性だ、というだけで自立するための仕組みではありません。
でも、自立もできます。
すこしバランスをとれば、ずっと両足を離していられるんです。扱いに慣れてきたら信号待ちで足を着かないなんていうことも充分できるな、というのがボクの感想でした。
アディバが新しさ満載すぎて楽しい(笑)
ちなみに……の豆知識
ちなみにアディバのデザインはイタリアで行われているのでスタイリングにはエッジが効いています。
そして本社は日本。社長も日本人という完全に日本のメーカーになっています。
そしてADシリーズの特徴であるルーフは取り外しが可能。
ルーフを外すとまた一段階、イタリアンっぽいスタイルになりますね。
外した屋根は後部のトランクに収納も可能です。そのトランクですが……
これくらいのサイズのバックパックなら余裕どころか
ヘルメットを含めてガンガンつっこんでも、まだ入ります。
箱ティッシュはご愛嬌。身近なサイズ感のものを入れてみたかっただけです(笑)
でも結局は『航続距離』でしょ?
とはいえ、電動の最大の弱点と思うのはやっぱり航続距離です。
充電ゼロで不動……ガス欠の恐怖と同じですが、ガソリンスタンドは全国にありますからね。いわゆるインフラと電池問題です。
この試作車の電池は、本来燃料タンクがあるシート下にあります。給油口の名残りなど、試作車だなと感じますね。
そしてバイク専用として設計されている電池の容量は7kwh。発表されている航続可能距離は130kmです。
ちなみに電池スペースにはまだ拡張性があるらしくもっと大きな電池も搭載できるようになっているとのことでした。
東京 ー 横浜を往復してみる!
でも実際に走ってみたら、まるで距離を走れなかったという例をボクは過去に経験しています。
だから、こういう時は実走テストしかありません。
東京から横浜・みなとみらいへ向けて走ってみます!
普通に家庭用100V電源でジャスト2時間の充電。
充電前は電池残量72%でしたが普通充電でも96%まで回復しました。
思ったより回復が早い印象です。
家庭用のコンセントでこれなら、いま普及している急速充電器を使えば、かなり電池が減った状態からでも10分程度でほぼ充電が完了するかもしれません。
例えば40kwhの電池を積む日産の電動自動車リーフは航続距離400kmです。
ざっくりですが、急速充電40分で80%まで充電可能となっています。
だとしたら電池容量7kwhのAD1-Eは、それよりも圧倒的に速くて当たり前。
この試作車は家庭用100V電源での充電仕様ですが、アディバは日本企業ですから、今の国内のメインとなる急速充電方式CHAdeMO(チャデモ)に対応してるくるのは間違いないと思います。
そして出発! ちょっと遠回りですが、湾岸線を通って横浜・みなとみらいへ向かいます。
カタログ値での最高速度は125km/h。動力性能的には100km/h巡航くらいなら余裕の印象でした。
普通に交通の流れに乗って走ります。何の問題なく横浜へ到着!
ちなみに加速がシュワーンッ!と速くて、なかなか楽しいクルージングでした。
そして気になる電池残量ですが、96%充電から走り始めて、片道で50%残っていれば帰れると思っていたのですが……
ぜんぜん余裕でした。電池残量62%です。
トリップメーターで換算すると片道の走行距離は40km。これなら確かに100kmくらいは走りますね。
ちなみに残走行距離計は走らせ方によって変化しますので、基本は電池残量を見て走るのが正解のようです。
普通に乗るぶんには、電池はぜんぜん大丈夫な印象。
それと電動に乗ってはじめて気づくのが、今どきは高速のSA・PAだけじゃなくレストランやらコンビニなど、いたるところに急速充電器があるっていうことです。
ガソリン車だけ乗っていると気がつかないものですね。インフラがすごく進化しています。
これなら横浜程度の距離なんて超安心ですね。
容赦なくガンガン走る!
ですが今回は、あくまでテストです。
電池に余裕があるとわかったので帰り道は、首都高1号線をメインに容赦なくスロットルを開けていきました(笑)
あえて電池に負担を掛ける! さすがに電池の減りが早くなりますが……
東京/赤坂のアディバショールームへ無事に帰着!
帰りは最短距離で走ったので走行距離は片道35kmでした。
ここまでアグレッシブにスロットル操作をしてきましたが電池残量10%で無事に到着。
少なくとも今まで乗った電動バイクの中では、ズバ抜けて電池性能に余裕がありました。
電動バイクに『未来』はあるか?
今回はけっこう驚きました。
まず「バイクはテイスティな走りが重要」だと考えているボクですが、アディバAD1-Eの『電動+3輪』という走りが斬新で、予想以上に楽しかったということを伝えておきたいです。
電池の性能も昔とは断然違うし、インフラも知らないうちに整っていました。
はっきり言って、この試作車の段階でもシティコミューターとして使うなら余裕だし、充分に楽しい乗り物だと断言できます。
ひとりのバイク乗りとして、ボクはエンジンが大好きです。
でも最近の酷暑や大雨、変な台風など異常気象を引き起こす最大の原因となる温室効果ガスのことを考えれば、電動化が重要だということも理解しているつもり。
今回AD1-Eに乗れたことで、ボクはすこし考えが柔軟になったかもしれません。
そうなると気になるのは来年発売予定となっているこのAD1-Eが、どれくらいの価格になるのか、ということ。
そして電池が劣化した時にどうするのか、ということです。
でも逆を言えば、そこさえクリアすれば、電動バイクにひとつの未来があるなと感じています。
このあたりは「日本メーカー」としてのアディバに期待したいところ。
これからの「電動」の動き、ちょっと楽しみになってきました!
アディバの走り、面白いから体験してみて!
《INFORMATION》
アディバの3輪/ADシリーズを体験するなら東京/赤坂のADIVAショールームへどうぞ!
【ADIVA/赤坂ショールーム】
ADRESS:東京都港区赤坂2-5-4 赤坂室町ビル 1F
TEL:03-6427-3600
定休日:なし
また、赤坂ショールーム以外でも全国54店舗のディーラーネットワークが確立されており、展示車や試乗車も続々と配備中です。
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