「できる限り小さなオートバイを!」今や幻となったモンキーの原点「Z100」
モンキーの原点となったモデルは、この「Z100」。そもそもホンダの若手の技術者らが「できる限り小さなオートバイを!」と製作し、社内アイデアコンペを勝ち抜いたものがルーツだったという。このZ100はモンキーという名前こそ与えられていないものの、スーパーカブ系ベースの50㏄エンジン、小径ホイールを活かしたコンパクトで愛らしいスタイリング、分割式ハンドルなど、後年のモンキーの基本的なイメージをもらさず備えている。
1961年の第8回日本自動車ショウで初公開された後に、当時ホンダが経営していたモータースポーツをテーマにした遊園地・多摩テックの遊具として採用され、大人から子供までの来園者の人気を集めるようになる。しかしついに市販はされず、極めて少数のみが生産されるにとどまった。
人気に応えた初の市販モデル「CZ100」。大きなタンクと小さな車体のコミカルさ
海外からも注目されるようになったZ100の人気に応えて、初めて輸出向け市販モデルとして1963年に姿を現したのが「CZ100」。5インチホイールに前後リジッドサスという車体の基本構造はZ100から受け継ぐが、スポーツカブ用タンクとシートを流用し、これに合わせて細部を変更。大きなタンクと小さな車体のアンバランスさによって、よりコミカルな雰囲気もさらに強調。
エンジンもやはりZ100と同じ、自動遠心クラッチ3速ミッションを備えたスーパーカブ系ベースの50㏄エンジンだが、タンクの変更に合わせてキャブレターをダウンドラフトタイプに変更。4.3psという最高出力は、実は歴代モンキーのノーマル状態では最高のパワーでもある(Rは除く)。イギリスをはじめとする欧州諸国、そして北米などに輸出された。
モンキーの始まりが遊園地の乗り物だったなんて衝撃ですよね。次回の連載では、「最初に国内市販されたモンキー」ご紹介をしていきます。ぜひお楽しみに!