2018年6月24日、米国コロラド州で「第96回 パイクスピーク国際ヒルクライムレース」(以下「パイクス」)の決勝レースが開催されました。標高差1.5km、平均勾配7%という峠道約20kmを登る速さを競うこのレースは、富士山を越える気圧差など非常に厳しい条件のもとで行われるものです。
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「Hondaの楽しい乗り物を紹介するために」?脅威の「ホンダ S3700」を投入??
舞台は北米コロラドスプリングス。全長20kmのコースをタイムアタックする、というだけでも興味津々なレースなのに、ゴールはなんと富士山超えの標高4300m!
スタート地点から156ものコーナーをクネクネと曲がりながら、一気に1500mほどを駆け抜けるという、いかにもアメリカンな大らかそのもののレース。それが、「Pikes Peak International Hill Climb(パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムレース)」です。
レースそのものの起源は1916年と、すでに100年を超える歴史を誇っていますが、Hondaは2011年からのエントリー。チャレンジャーとしては比較的若手ですが、それでも毎年、ユニークなマシンたちを投入してレースを盛り上げてきました。
たとえば2013年には、二輪と四輪を合わせて9つのクラスに11台がエントリー。当時、Aerican Honda Motor Co.の上級副社長だったマイク・アカヴィッティ氏(のちにAcuraの副代表)はその大盤振る舞いを、「さまざまなジャンルの(Honda&Acuraの)楽しい乗り物を紹介するため」だとコメントしています。
パイクスピークという舞台でHondaの多彩な製品ラインナップを披露することによって、すべてのレベルのレースでHondaのプレゼンスを強化する非常に良い機会になると考えています。世界中のHondaファンに向けて、そのレーシングスピリッツを強くアピールすることができるでしょう。(Michael Accavitti:senior vice president of auto operations for American Honda Motor Co.<2013年当時>)
珍車ナンバー1は、532hpのオデッセイ。もちろんお買い物もOK!?
多彩なパイクス・チャレンジャーの中でもひときわ異彩を放っていたのが、2013年に参戦した北米仕様のオデッセイでしょう。搭載されるエンジンは3.5LのV型6気筒にターボチャージャーを装備した仕様。最高出力はなんと532hp、最大トルクは63.6kgmを発揮しました。
もちろん過酷なレースを勝ち抜くために、車室内は縦横無尽にロールケージが張り巡らされています。生活感らしい生活感はゼロ。ところがドライバーのサイモン・パジェノーは、このオデッセイでわざわざ市街地を訪れ、マクドナルドのドライブスルーでハンバーガーとエスプレッソを買ってみせたのでした。
この珍エピソードは当時、生動画としてYoutubeで公開されて、話題を呼んだそうです(今でも観られます)。もちろんレースは真剣にチャレンジ。エキシビジョンクラスでレクサスのIS F CCS−Rに次ぐ2位を獲得しています。タイムは12分54秒と約50秒遅れでしたが、相手は生粋のサーキットアタック仕様車。大健闘じゃないでしょうか!