マーベルの異端児、デッドプールの実写映画化第2弾は、前回に増しておふざけモード全開。
マーベルの異端キャラが大スターに
マーベルのドル箱企画といえば、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。複数の異なるキャラクターの映画をクロスオーバーさせ、それら全ての作品を同一の世界観として扱う手法は、現在映画界の一大トレンドになっているわけだが、本来そのMCUと融合されるべきX-MENは、大人の事情により 独立した世界観の中で数々のシリーズが作られている。
本作はマーベルのキャラクターの中でも異端児と言えるデッドプールの実写映画化の第二弾だが、X-MENと世界観を共有しており、さらに観客(や読者)に話しかけるという”禁じ手”を平然と行うことが特徴。
本作では、ミュータントの少年の殺害のために未来からやってきた兵士ケーブルとの戦いを軸としているのだが、ミュータントを迫害したり管理しようとする社会体制の存在が明確になっていて、デッドプールもまたミュータントの一人として扱われている。第一弾の前回ではX-MENに誘われるが無碍に断るデッドプールの姿が描かれていたが、今回の作品ではかなり積極的にX-MENに関わる様子が描かれている。世界観の共有、という意味では、相当にX-MEN寄りになってきていると言える。
デッドプールの面白さは、先述のように自分が映画やコミックの中の存在であることを意識しているかのような掟破りの言動や、常にふざけていて軽口を叩く悪ノリベース、そして様々な映画作品への”実名”での当てこすり(今回はウルヴァリン=ローガンやDCコミックへのディスり具合が半端ないしw、アナ雪への執拗な皮肉が目立つ笑)にある。シリアスモードのX-MENとの関係性が深まることで、互いの長所を消し合うことがないのか、結構心配になるが、本作の大ヒットで第三弾制作も間違いないだろうし、制作側も頭を悩ますことだろう。
ちなみに、すでに多くのメディアが話題にしているが、本作では多くの”有名キャラ”やセレブ(種明かしすれば、ブラッド・ピットなど)がカメオ出演していることも見所。お!♡と思わず体を前のめりにさせられる瞬間がいくつかあるので、楽しみにしてほしい。
ウルヴァリン: X-MEN ZEROにも登場したデッドプール
前述したように映画業界に旋風を巻き起こしているマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は、柳の下のドジョウを探す多くの模倣者を生んでいる。
ライバルのDCコミックのDCエクステンデッド・ユニバース(『ワンダーウーマン』や『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』などを成功させている)は健闘しているものの、ユニバーサル・ピクチャーズの「ダーク・ユニバース」(クラシックなモンスター映画をリメイクする一大プロジェクト)は一発目で見事にコケている。つまり当たれば大きいが、なかなかに成立させるのが難しい企画なのである。
実際マーベルでさえ、デッドプールの主演であるライアン・レイノルズを起用した『グリーン・ランタン』(2011)では興行的に大失敗している。(下の動画ではデッドプール自身≒ライアン・レイノルズが、その失敗を含む、実写映画化までの苦労を語っている)
動画の中でデッドプールが自分で語っているように、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』ではウルヴァリンと戦う敵役(もしくは道化役)としてデッドプールは登場しているが、そのデッドプール役もまたライアン・レイノルズが演じているので、かなり説得力がある笑。
そんな複雑な背景を持って生まれた本シリーズだが、第二弾も悪ノリ具合は健在で、かなり過激な描写も増えていながら、ファミリーでもカップルでも楽しめる内容になっている。大傑作!という路線ではなく、あくまでカルト的、B級的な映画なので、そこを認識した上で思い切り楽しんでほしい。