マトリックスシリーズで共演した、モーフィアスことローレンス・フィッシュバーンがキアヌを扶ける役で登場しているのも見もの。
引退を決意したものの、すぐに引き戻される哀れな殺し屋の話
キアヌ・リーブス演じるジョン・ウィックは伝説の殺し屋。引退したものの、愛車を盗まれ、亡き妻の形見である愛犬を殺害されたことにブチ切れて、壮絶な復讐劇を見せる(第1作)。
今回は、以前と変わらぬ戦闘能力を見せつけたことで、ジョン・ウィックは結局血塗られた過去の世界に引き戻され、それどころかかえってひどい状況に追い込まれていく姿を描いている。
前作の戦いからわずか5日後。ジョンは、NYマフィアの大物であるサンティーノ・ダントニオから、マフィアのボスである姉の暗殺を持ちかけられるも、それを断る。それを怒ったサンティーノにより、妻との思い出が詰まった自宅をバズーカで破壊されてしまったジョンは再びキレるのだが、今作では、ジョンたちが生きる裏社会のさまざまなしがらみというか、守るべきルールの存在が明らかになり、ジョンは簡単にはサンティーノに復讐することができない、という設定が浮上するのである。
やむなくサンティーノの依頼を受け、彼の姉であるマフィアのボスの暗殺を実行するジョンだが、サンティーノの裏切りに遭い、彼の部下たちから追い回され、さらに700万ドルもの懸賞金をかけられてNY中の殺し屋たちから命を狙われる羽目になる・・・。
果たして彼は生き延びられるのか。そしてサンティーノに落とし前をつけられるのか?
キレるのはいいけど、相手と状況を見ながらにしよう・・・
戦うたびに自ら余計な敵を作ってしまうジョン・ウィックの大人気なさw
冒頭で書いたように、本作はキアヌ演じるジョン・ウィックのキレっぷりと、彼が見せる独特のアクションで話題になった『ジョン・ウィック』の続編である。
彼のアクションは、カンフー映画で見られるような格闘技に、超近接での銃撃を組み合わせたもので、カンフーとガンを組み合わせガンフーと称される。
そのルーツは、ダークナイトシリーズのクリスチャン・ベール主演のカルトSFムービー『リベリオン』で登場した、ガン=カタ(GUN=KATA・銃=型)と呼ばれる格闘スタイルだと思われる。二丁拳銃を打ちまくりながらも中国拳法や空手のような動きで相手を倒すもので、格闘と銃撃が限りなく一体化したアクションで話題になった(興行的には失敗作ではあったが)。
『リベリオン』では、銃弾を避けたり弾き飛ばすような、SFならではのありえない動きもあったが、本作ではより実戦的というか、現実的なアクションとなっている。(例えば、ジョンは戦闘中度々銃弾を浴びせられるが、特殊な防弾処理を施したスーツのおかげでかろうじて致命傷を免れる)
本作では、ジョン・ウィックをはじめ、ほぼすべてのキャラクターが構成メンバーとなっているらしい、巨大で世界的な犯罪コンソーシアムの存在が改めて明らかになる。本作での敵はマフィアだったが、今後彼はもっと強大な犯罪組織そのものを敵に回さなければならない状況に追い込まれていきそうで、引退するまえに引導を渡されそうな危地に(正直、自ら)向かっていく。
ちなみに、サンティーノの配下で、聾唖の女殺し屋(サイレント・キラー)を演じているルビー・ローズは、1986年3月20日生まれのモデル兼女優。手話(サイン・ランゲージ)で”お前を殺す”的な物騒な脅し文句をジョンに浴びせるその姿は、実にクールでスタイリッシュ。彼女を主役にした映画を作ってもいいんじゃないか、と思えるほど、痺れました。