ストーリー
地球外生命体を発見することは宇宙事業に携わる全ての人間の夢である。今回の作品で、火星から採取された単細胞の微生物は、我々と同じ炭素生物(炭素を中心として構成されている生命体)であり、いかにも現実的な設定として登場する。
この吉報(=”地球(我々)”は一人ではなかった)に湧く地球。微生物はカルビンと名付けられ、採取したISSのクルー達は観察を続けるが、やがてカルビンは急激に成長し、クルー達を襲い始める。
カルビンは酸素を必要とする炭素生物でありながら、空気がなければ冬眠する。宇宙空間でも生き続けることができるうえ、火炎放射器による攻撃にも耐えるカルビンの前に、クルー達は生きながら喰われていく。
生き残ったクルーは、この無慈悲で攻撃的なモンスターを地球に降り立つことだけはなんとしても避けようと、自らを犠牲にしてでもカルビンの息の根を止めようと奮闘する。
非常にリアルで緻密な設定と、惨劇が起きてからの速度感に好感もてる佳作。しかし・・・
本作は宇宙生物と人類の突然の接触を描いているが、「E.T.」のようなハートフルなラインではなく、「コンタクト」「メッセージ」などのような知的な交流の成立を見守る静かでスリリングなラインとも違う。やはり「エイリアン」「プレデター」と同様に、問答無用で容赦ない攻撃に晒される、完全なホラー映画だ。
エイリアンやプレデターと違うのは、カルビンがまず無害な微生物として発見されるという、いかにもありそうな設定だが、その後の惨劇が繰り返され、人間達が追い詰められていく様は実にスピーディーで落ち着く間を与えない。その一気呵成な畳み込み方は「エイリアン」「プレデター」などの名作に匹敵する良い作りだと思う。
ただ、この手の映画にありがちなのだが、絶望的なラストが待っていることを常に予感させるところが、本作の好き嫌いを分けるかもしれない。
そもそもバッドエンディングがお嫌でなければ、そんな心配は杞憂なのだが、生半可な安堵感を与えてくれない映画であることは言っておこう。