ガーニーが開発した"アリゲーター"とは?
1959年から1970年にわたりF1で活躍したガーニーは、そのキャリアで4勝をマークしています。その中でも特筆すべきは1967年ベルギーでの勝利で、彼はジャック・ブラバムに次いで、自分が開発に関与したマシン「イーグル」で優勝したF1ドライバーになりました。
有名な「ガーニー・フラップ」の例をあげるまでもなく、彼は開発者としても優れた人物として知られています。ただ、彼が長年「アリゲーター」というモーターサイクルの開発に情熱を捧げたことは、残念ながら4輪業界における貢献ほどにはあまり知られていないようです。
アリゲーターは、ガーニーが興したAAR(オール・アメリカン・レーサーズ)の一部門のプロジェクトとして立ち上げられたモーターサイクル計画です。アリゲーターはタイプとしてはいわゆる「フィート・ファースト」または「フィート・フォワード」と呼ばれる、足を前方へ伸ばしたライディングポジションのモーターサイクルでした。
長年の開発の末、アリゲーターは2002年に限定発売されました。その数は36台でしたが、これはガーニーが4輪レーサー時代の「アイコニック・ナンバー」にちなんだものです。
天国へ羽ばたき、そして翼を休めてください・・・
肺炎の合併症でガーニーは世を去りましたが、死の数日前までアリゲーターの今後の構想を知人に語っていたそうです。試作車を含む過去のアリゲーターはホンダやヤマハの単気筒、そしてハーレーダビッドソンのVツインを用いていましたが、次に計画していたアリゲーターのエンジンには、新規開発のコントラローティング2気筒を採用することをガーニーは考えていました。
2つのクランクシャフトが互いに向かい合う回転方向に回り、振動をキャンセルする並列2気筒・・・まるで英国ベロセットの「ロアラー」や「モデルO」みたいな構成ですね。残されたAARのスタッフが、ガーニーの夢を叶えてくれることを我々とともに期待して、今は安らかにお休みください・・・。