他には真似ができない、ジャパンメイドの底力
1980年代後半、ホンダはパリ・ダカールラリーで連戦連勝を記録。そのレプリカモデルとして開発されたアフリカツインは間違いなくホンダ・レジェンドのひとつです。
そして、その名を受け継いで甦った現行アフリカツインは、レジェンドの名に恥じない高い悪路走破性能を与えられたビッグオフロードとして華々しくデビューしました。
しかし、1000㏄という大排気量にも関わらず、類い稀なオフロード性能を与えられたことによて、ちょっとオフロードバイク寄りの評価が目立ってしまったのも事実です。
もちろん、それも悪いことじゃないのだけれど、ボクがアフリカツインに乗って最も感動したのは、実は高速道路クルージングでの凄まじい安定感のほうでした。
オフロード性能を重視して前輪に21インチタイヤを履く大排気量アドベンチャーバイクっていうのはこれまで、オフロード性能のためにオンロードでの快適さを若干犠牲にしているように感じていたんですけれど、アフリカツインは違いました。
前輪21インチで90/90という細めのタイヤにも関わらず、大排気量アドベンチャーで定番の前輪サイズでもある19インチタイヤに匹敵するほどの前輪の接地感があるんです。これには本当に驚かされました。
その安定感はワインディングでのコーナリングも安心して楽しめるレベルで、舗装路を走るロードバイクとしての完成度においても、アフリカツインはトップクラスの快適性を誇っていること、意外に知られていないように思います。
だからまず、ここでは普通のツーリングバイクとしてもアフリカツインは素晴らしい、ということをきちんと伝えておきたい!
そのうえでのオフロード性能なんですけれど、そうは言っても今回乗ったオートマチック機構DCT仕様の車両重量は242㎏。決して軽い訳ではなく、もしもオフロードでバランスを崩したら……という不安感がつきまといます。
でも、意を決してオフロードへ入ってみると、あまりにも簡単にオフロードを走れてしまうことに拍子抜けするんです……これは1000㏄オーバーの重量級アドベンチャーバイクでは珍しいことなんですけれども、ハッキリ言ってフラットダート程度ではすぐに物足りなくなります。
もうすこしアップダウンのある道がいいな、なんて思い始めてしまうんです(笑)本当に車体構成が優れているとしか言えませんね。
これにはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の恩恵も大きくて、クラッチ操作が無いことから走りに集中できますし、かつエンストしないという安心感がとても大きいです。
もちろんオフロード用のブロックタイヤでないならば無理は禁物だけれど、しずしずとオフロードを進む程度ならば誰でもできてしまうのが素晴らしいところ。
オフロードも、普通の旅も楽しい!
アフリカツインはオフロードの走破性だけじゃなく、舗装路での安定性を高いレベルで両立していることが、何よりもスゴいです。
ここまで懐の深いオートバイを作りだせるのは流石ホンダ!
これぞ、日本のオートバイの底力。アフリカツインは、それを世界に見せつけているんです。