今回は『マスターズ・ヒストリック・フォーミュラ1』のデモンストレーションに参加予定の、ティレル012を紹介します。
最初は「Vウィング」を装備!
名門ティレルが1983シーズン用に新規製作した012は、グランドエフェクトによる過度のダンフォースを規制するための「フラットボトム規定」に合致するようにモーリス・フィリップによってデザインされました。
新車発表の席では、リアに奇抜なV型(ブーメラン)ウィングが付いていて話題を集めましたが、これはあまり効果的でないと早期に明らかになり、フツーのウィングに戻されています。なおシャシーにカーボン材を主に使ったのはティレルとしては初のことであり、その点でも012はティレルにとってエポックメーキングな1台だったと言えるでしょう。
ティレルが、フラットボトム規定となった1983年シーズンに向け開発したマシン。完全新設計となったシャシーは、スリムなカーボンモノコックと小さなサイドポンツーンが奇抜(発表時はブーメラン型のリヤウイングを装着)な印象だが、前後ダブルウィッシュボーンのサスペンション、ショートストロークのコスワースDFV、ヒューランドFGA400ギヤボックスとその中身はオーソドックスなものだった。翌84年シーズンにはコスワースDFYを搭載。新人ステファン・ベロフとマーティン・ブランドルがドライブし、それぞれモナコで3位、デトロイトで2位に入る活躍をみせるが“水タンク事件”で全戦のリザルトが抹消された。この012は83年の第11戦オーストリアでデビューし、アルボレートのドライブによりオランダGPで6位入賞を果たした車両だ。
こちらの動画は、1983年にティレル012で、ミケーレ・アルボレートが唯一ポイントを獲得したコースであるザントフォールト・サーキットで、31年ぶり(2014年)に走った012の雄姿です。このサウンドを「RICHARD MILLE SUZUKA Sound of ENGINE 2017」で聞くことができるとは・・・楽しみです!