あらすじ
舞台はニューヨーク。ハリー・ポッターファンにはおなじみの魔法学校ホグ・ワーツ出身のニュート・スキャマンダーは、はるばるイギリスからアメリカにやってきた。彼は迫害され、絶滅の危機に陥った魔法動物を保護してきた魔法動物学者。
片手に携えたトランクの中は魔法世界で、保護した動物たちがたくさん詰まっていた。しかし、NYで偶然出くわした普通の人間ジェイコブ(イギリスでは人間をマグルというが米国ではノーマジ=No Magicと呼ぶ)のトランクと取り違えてしまったことで、魔法動物の一部が逃げ出してしまう。
ニュートはジェイコブの助けを借りて魔法動物の回収に動くが、一方で人間界への干渉を避けてきた魔法界の常識を崩そうとする=人間界に侵食しようとする野心ある魔法使いグリンデルバルドが暗躍していることが明らかになっていく・・・。
最悪・最恐の魔法動物オブスキュラスの力を使って人間界の破壊を目指すグリンデルバルドの陰謀を、ニュートたちは命を賭けて阻もうとするが・・・。
魔法界から人間界へ侵食しようとする野心と、人間と魔法使いの交流を上手に描くことで新境地を拓いた佳作
僕はハリー・ポッターシリーズがあまり好きでなかった。その理由はハリーたちの長い戦いが、すべて魔法界の中でのことで、我々普通の人間とは隔絶された世界の物語だったからだ。
しかし、新たに生み出されたスピンオフシリーズである本作では、魔法使い以外、つまり人間が初めてメインキャスト入りする。つまり、人間界と魔法界の接点が描かれている。
僕としてはこの点を高く評価したい。
主人公ニュートと、彼をアシストする魔法使いたちと交流する人間ジェイコブは、第一次世界大戦で欧州遠征した人物。彼は缶詰工場で働くが、より人間的で温かみのある仕事としてパン屋の開業を目指している。たまたま融資を頼みにきた銀行でニュートと知り合うのだが、このジェイコブの存在がいい感じの狂言回しとなって、本作の魅力を増している。おそらく彼は次作以降は登場しないと思うが、できればこの新ハリポタシリーズでは、常に人間と魔法使いの接点を描くことを忘れないでもらいたいと思う。