実在する米国の女性発明家ジョイ・マンガーノの半生を描くサクセスストーリー。主人公のジョイを人気女優のジェニファー・ローレンスが演じる。父親役にはロバート・デニーロ。
実話に基づくサクセスストーリー
ヒロインのジョイはシングルマザー。祖母と母と同居しながら二人の子供を育てていた。
甲斐性無しの父親は愛人を作っては家出し、捨てられては戻ってくるを繰り返し、母親は無気力で毎日ベッドでメロドラマを見ているだけの毎日を送っている。優しい祖母の存在が救いだが、ジョイは夢も目的も持てない人生に倦んでいた。
そんなとき、割れたグラスを掃除したモップを絞ったときに手を切ってしまった彼女は、触れずに絞れるモップを思いつく。小さい頃から手先が器用で、物作りが大好きだった彼女は、すぐにそのアイデアの特許を取得して商品化しようと考えるのだが、現実はなかなか甘くなく、作ってはみたもののモップは売れない。
そんな中、彼女は発明したモップをTVの通販番組で紹介してもらえるチャンスを得るー。
起業家なら絶対に持つべき、ピボットとグリットを学べる良い作品
本作は映画館での公開はされず、DVDやデジタル配信だけの配給となった。ジェニファー・ローレンスという世界的には大人気で超一流の美人女優をヒロインに据え、父親役にロバート・デニーロという名優を配していながらなぜ?と思うが(二人に加えて、ジョイを大成功に導くTV通販のカリスマを「世界にひとつのプレイブック」でジェニファーと共演したブラッドリー・クーパーが演じているというのに!)、ジェニファーは日本人ウケはあまりしないということかもしれないし、デニーロの神通力は過去の話になってしまっているのだろう・・・。
しかし、本作を素直に観ればジェニファーの確かな演技力と、しなやかな肢体とファニーフェイスの魅力は素晴らしいし、ろくでなしの父親を嬉々として演じるデニーロも実にいい感じだ。
幼い頃は神童、長じたらただの人。ジェニファー演じるジョイもまさにそういう一人だった。
神童が大人になって自分の才能が思ったほど優れたものではなかったと気づいてしまうことはよくあるが、そういう現実と同じくらいの割合で、自分の才能を信じきれずに諦めてしまう、もしくは忘れてしまうということもよくある。大切なことは、諦めずに最後までトライすることができたかどうか、ということだ。
ヒロインのジョイは、偶然降ってきたアイデアをモノにして一発当てようと思いついた(現状を変革しようとするピボット)。そしてそのアイデアにしがみつき、やりとげようとする執念を持ち続けた(自分を信じてやり遂げようとするグリット)。
この映画は起業家向けの作品だ。
ジェニファーのように美しくも若くもなくてもいい、彼女と同じようにアイデアを振り絞り、ビジネスにするまで戦い続けるガッツがあればいい。
我戦う、故に我あり、なのである。