はたして富士フイルムX-T2は、高速で疾走する新幹線を確実に捉えることができるのか?鉄道雑誌の表紙やラジオパーソナリティなど各方面で活躍中の鉄道写真家・久保田敦氏がいつもの撮影現場に持ち込んでテストしてみた。
X-T2のAFは時速300kmの山陽新幹線を捉えた!
「まず時速300kmで走る新幹線でX-T2のAFを試してみた。AFモードをトラッキングにして左端のAFポイントから追従するようにセットした。その追従性には『ここまで捕捉するのか!』と正直驚いた」。
X-T2のAFは鉄道写真に向いている
「動きの予測ができる鉄道写真ではフォーカスエリア(被写体を追従する範囲)をゾーン(複数のAFポイント=3×3点、5×5点、7×7点に設定可能)にして、AFで追従させるほうが結果は良好だった。ここでは左下の9点(3×3)を選択して追ってみた」。
X-T2はフジノンレンズの描写力にも驚く!
「九州の特急列車は細かい文字やエンブレムが多く、レンズの切れ味が必須になる。画像を拡大してみるとフジノンXシリーズレンズの描写に目を見張った。もちろんピントはAFに任せたものだ」。
フジノンレンズは鉄道風景も見事に描写する!
「風景主体の撮影では、やはりレンズの描写力が最も気になるところ。列車の細かい文字や杉の木、竹の葉までクリアに再現してくれた。カメラ内RAW現像※ではVelvia(ベルビア)を選択している。自然風景など鮮やかな発色が特長で、プロ・アマを問わずに愛される続けるリバーサルフィルムVelvia。『あのフィルムの色味』をデジタルカメラで再現できるのは、富士フイルムならでは大きなアドバンテージだ」。
※通常はデジタルカメラの性能をフルに活かすRAW形式で撮影されたデータは、いったんパソコンに撮影データを移してRAW現像ソフトウエアで画像編集作業をしなければならない。しかし「カメラ内RAW現像」はパソコンにデータを移す必要がなく、カメラ内でRAW現像・画像編集ができる機能。
X-T2のフィルムシミュレーションは秀逸!
X-T2では15種類あるフィルムシミュレーション(色再現性と階調表現をフィルム取り替える感覚で設定できる機能)からVelvia(ベルビア)を選ぶだけで、霞がかった春の空をコントラストのある抜けの良い画像にしてくれた。菜の花も鮮やかに再現している。
X-T2はEVFのレスポンスも良好
「X-T2はEVF※(電子ビューファインダー)のレスポンスが良いので、こんな流し撮りも違和感なくできた。このときは流しに集中するため、あらかじめ線路付近に『置きピン』しておくのが確実だ」。
※EVFはファインダー(覗き窓)に液晶画面を埋め込んだもの。「被写体を肉眼で直接見える、追える」一般的な光学ファインダーに較べて、EVFはレンズが捉えた画像をデジタルデータに変換することから、実際の被写体の動きに較べてタイムラグが生じるというデメリットがあった。しかし、X-T2のEVFは表示タイムラグ0.005秒を実現し、光学ファインダーに匹敵する性能を実現している。
今回X-T2をテストしたのは鉄道写真家・久保田敦さん
1977年、長野県生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。2001年レイルマンフォトオフィス入社。現在フリーランスとして「鉄道ジャーナル」を中心に、一般誌へも活動を広げている。またFMサルースの鉄道番組「TRAIN-TRAIN」(毎週金曜日21時から22時まで生放送)のメインゲストとしても活躍中。日本写真家協会、日本鉄道写真家協会会員。
富士フイルムX-T2とはどんなカメラ?
X-T2は防塵・防滴・耐低温性能を備えておりプロ写真家のハードな使用に応えるカメラだ。そしてプロ写真家が最も重視する高いレベルの画質を実現している。今回のような高速で疾走する新幹線をも捕捉する高いAF精度と高速連写性能は約14コマ/秒を実現しており、ミラーレス機では画期的なモデルとして2016年7月7日に発売された。
富士フイルムX-T2の主要スペック
●有効画素数:2430万画素●撮像素子:APS-C(23.6×15.6mm)X-Trans CMOSⅢ●ISO感度:ISO200~12800(標準)、ISO100/25600/51200(拡張)●連写性能:約14コマ/秒(電子シャッター設定時)、約11コマ/秒(VPB-XT2装着時)●ファインダー視野率(上下):100%●ファインダー倍率:0.77倍●記録メディア:SDHC/SDXC/SDカード●ボディサイズ:W132.5×H91.8×D49.2mm●重量:457g●ボディ単体価格:オープン
もっと富士フイルムX-T2を知りたい!
富士フイルムのX-T2がよく分かる動画はこちら。