事故で体の自由を奪われた大富豪と、彼の日常の介護の職を得た女性の心の交流を描く。プロット自体はよくあるがー例えば『最強のふたり』は大富豪の初老の男性と黒人男性、『サヨナラの代わりに』はやはり富裕な女性と若い女性、今回の大富豪は若く美しい男性で、介護人のほうは若い女性だ。つまり、今までの作品は同性同士が社会的立場の違いを超えて友情を育む話だったが、今回は異性=男女が恋愛感情を持つようになる、という話だ。

不慮の事故で自由を失った若者の悲しい決意とは

雨中で電話をしながらタクシーを探していた若き大富豪のウィルは、突っ込んできたオートバイに刎ねられた。どちらの不注意かはわからないが、それ以来彼の四肢は麻痺してしまう。

美貌と資産。天は二物を与えずというが、ほぼ全てを持っていたはずの若者が、突然絶望のどん底に突き落とされたら?ウィルは性格をこじらせ、人を寄せ付けない狷介な人間になってしまうのだが、それも止むを得ないというほかないだろう。
彼の親や、彼のお金に魅力を感じる者は、彼の皮肉たっぷりな言動やわざと人に嫌われようとするような態度を甘んじて笑って受け入れるかもしれない。しかし、たいていは彼に嫌気がさして離れていく。

そんなとき、彼の介護役として現れたのは陽気で話好きの女性ルイーザ。働いていたカフェが潰れてしまい、大家族の家計を助けるためにこの職を求めてきた。ルイーザもまたウィルの嫌味な態度に、最初は苛立つが、幸福の絶頂から急に突き落とされたことでヤケになっている彼の気持ちはわかる。努めて明るく献身的に彼に尽くすルイーザに、頑なだったウィルの気持ちもほぐれていく。
徐々に二人の気持ちは近づいていき、やがて恋に落ちるが、ウィルは未来のない苦痛に満ちた人生を自らの手で終わらせることを考えていた・・・。

ルイーザは彼の悲しい決意を翻すために、生き続けたいと思いたくなる”死ぬ前にしたいことリスト”を作り、ウィルに提案し始めるのだが・・・。

流行りの設定に、力づくて新たな魅力を与えた主演の二人の魅力に脱帽

冒頭で述べたように、本作のプロットは『最強のふたり』や『サヨナラの代わりに』と同じだが、ウィルが大富豪であるうえに若く美しい男性(演じるのは『ハンガー・ゲーム』でも美貌の戦士を演じたサム・クラフリン)という設定が、彼の絶望を余計に強く観る者に感じさせる。事故に遭った彼にとってお金があったことは幸いだったが、失った幸せが凄すぎて喪失感もまた恐ろしく深く狂おしいのだ。

ルイーザを演じるのは『ターミネーター: 新起動/ジェニシス』でヒロインのサラ・コナーを演じたエミリア・クラーク。彼女が正直それほど美しくもなく、平凡な容姿をしているだけに、ウィルとの感情の発展がおとぎ話ではなく、彼女の献身的な努力と、愛らしくまっすぐな性格の良さが彼をひきつけたと素直に信じられる。

自由を奪われた若者が心を閉ざし、そして再び開いていく様は、作り物ではなく、本物の感情の動きを表現できている。観る前は二番煎じ、三番煎じと軽く思っていたが、大変よいラブストーリーだと思う。

とはいえ、この映画のラスト、2人の恋の行方は賛否両論に分かれるところだろう。
僕なら、別のラストシーンを用意したと思うが、みなさんならいかがだろうか??

画像: ブルーレイ&DVD『世界一キライなあなたに』トレーラー 2月3日リリース www.youtube.com

ブルーレイ&DVD『世界一キライなあなたに』トレーラー 2月3日リリース

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