カワサキの哲学と世界最速への挑戦

写真右側にはヒストリックな車両を展示。左側は企画展で現在は10月末まで新型ニンジャ1000など2017年モデルが展示されています。
カワサキのバイクや船舶、航空産業などの歴史が凝縮されている神戸海洋博物館/カワサキワールドのモーターサイクルギャラリーがリニューアルされました。「世界最速」を求め続けたスピリッツが凝縮された展示内容になっていて、カワサキファンだけでなくオートバイ好きなら誰でもハートが熱くなるはずです。Z1からH2へ至る系譜など、ちょっとしたタイムスリップ気分でワクワクします。
先日、発表されたばかりの新型Ninja1000にドキッ!

10月末まで新型ニンジャ1000も展示中! 一層シャープになっていました。スクリーンも変更されています。
リニューアルオープンしたてのギャラリーには10月末までの期間限定で、ドイツのインターモトで発表されたばかりの2017年モデルも展示中でした。発表直後は海外仕様とアナウンスがあり、その後「国内販売にむけて調整中」と意味深なアナウンスのあった注目のニンジャ1000がそこには展示してあったんです。スタイリングの変更をうけて鋭いフェイスマスクを手に入れたニンジャ1000、カッコよくなったナァ……なんて眺めていると「アレ?」と気づいたんです。コーションラベルが何故か日本語なんですよ。逆輸入車なら英語表記のはず。しかも驚くべきことに!

新型ニンジャ1000のメーターには「ETC」のインジケーターが!?
インジケーターに「ETC」の表示。これは国内仕様ってことなのか?
これはキタッ!と、たまらずスタッフのかたに聞いてみましたが「現在、調整および開発中」という返答でした。でも日本専用モデルじゃなければETC標準装備なんてありえないはず。まだハッキリとした発表はありませんがここまで来てるならニンジャ1000の国内仕様、いよいよ現実的になってきました! つまりそれは、先日も予想で書いたとおり、流通経路の変更によるプライスダウンが起こりうるはずなんです。しかも、新型はスタイリングだけでなくエンジンの変更やスクリーン、シートの変更などフルモデルチェンジレベルの進化を果たしています。これは一度、実車を皆さんにも確認してもらいたいです!

カウルのデザインも変更されています。快適性アップと共に現代的なデザインになっていました。

シートも変更されていますね。タンデムやロングツーリングの快適性に期待したいです。

キャリパーの高級感が違います。「Kawasaki」のロゴがカッコいい!

2017年モデルの新型Z1000やNinja650も10月末まで期間限定展示。この2台のメーターにも「ETC」のインジケーターが……
「Z1」と「H2」に共通するカワサキDNA
世界最速に賭けた情熱と歴史が凝縮されています
新しくなったモーターサイクルギャラリーのオープニングは伝説の名車「Z1」と生ける伝説「H2」からスタートします。開発のストーリーなども含め、カワサキ哲学がぎっしり詰まった展示です。普段あまり見ることのできない貴重な車両だけに視線は釘づけでした。しかも、その後のヘリテイジコーナーにも伝説の名車たちが素晴らしいコンディションで展示中なんです。

900 Super Four(Z1)のエンジン
最高出力82馬力を8500回転で発生する並列4気筒DOHC2バルブエンジンを世界で初めて量産車に投入。排気量903ccのこのエンジンは、当時の世界最速エンジンでした。

Ninja H2のエンジン
スーパーチャージャー搭載により最高出力200馬力を11000回転で発生。サーキット専用車H2Rでは最高310馬力を1万4000回転で発生させています。

KZ1000R/ビキニカウルとKERKERのマフラーがシビれますよね。憧れたライダーも多いはず!

H2(MACH Ⅳ)/750ccの2スト3気筒エンジンは最高速度203km/hを達成。当時の市販車最速マシンです。

ZXR-7/1993年の鈴鹿8耐で優勝車。トリコロールカラーとITO HAMのスポンサーロゴが懐かしい!
新しくなったカワサキワールドは、遊べるミュージアムでした!

ライディングシミュレーター「RidE X」は、左右に5度ずつしか車体が傾かないはずなのに、フルバンクしていると本気で錯覚します。ちなみにストレートでの最高速は200km/hに達するそうですよ!
カワサキが世界最速に賭けたストーリーを楽しむだけが、新しくなったカワサキワールドの楽しみ方じゃありません。幅14mの曲面モニターでVR顔負けの体験ができる「カワサキワールドシアター」も新しくなり、おそるべき臨場感でサーキット体験ができるシミュレーター「RidE X」のほか、カワサキのロボット産業の技術力を思い知らされる「カワサキロボット」の実演、航空産業の蓄積を感じるフライトシミュレーターなど、初来訪なら3時間くらいはアッという間に過ぎること保証いたします。
次のツーリングの行先に迷ったら、是非とも神戸海洋博物館/カワサキワールドへ。ここは、バイク乗りなら絶対に楽しい「オートバイのテーマパーク」です!
カッコいい国産戦闘機の代名詞「飛燕」が、完璧レストアを受けて別会場で展示中!

カワサキワールドからバイクで10分ほど移動した先にある「神戸ポートターミナル/大ホール」では11月3日(木)まで「川崎重工創立120周年記念展」として川崎航空機工業が開発した三式戦闘機「飛燕」を忠実にレストアして展示されています。「Ninja H2/R」と同じくスーパーチャージャーを搭載され、最速を求めた戦闘機です。75年前もからカワサキは変わらぬスピリッツを持ち、現代まで受け継いでいるんだと感じました。見えない部分のネジを600本、当時と同じ仕様で作るなどレストアに掛けられた情熱と再現性は半端なものではありません。入場無料ですし、こちらも必見です!
逆さに搭載されたV型12気筒エンジンって、何だそりゃあ!?

どんなエンジンだコレ? と不思議に思っていたら「V型12気筒を逆さにしてるんだよ」と教えてもらいました。あーナルホドね、逆さ向きに搭載したV12なんだぁ。……って、なんで逆さやねーんっっっ!(←心の叫びです)と混乱しましたが、続いて「機銃を搭載するために逆さにしてスペースを空けた」を聞いて、ホントに感心しました。逆さでも動くんだなあ、いやそりゃ動くだろうけど。当時のカワサキのエンジニアさんの発想力に脱帽です。

逆向きのV型エンジンなのは理解したけど、何故そこにプラグが? というかツインプラグなんですね。

メーターも限りなく本物を使ってます。吸入圧力計……スーパーチャージャーのブースト計ですかね?

ネジひとつ、カラーひとつまで可能な限り忠実に修復。欠損部品は復元しています。飛燕の故郷の川崎重工 岐阜工場でレストアが行われました。

展示車の750ターボです。当時は0-400mが10秒71で世界最速でしたね! カワサキの過給機技術ってスゴい!

空冷ではない液冷エンジンのおかげで、ゼロ戦などよりもスマートなノーズデザインになっています。このカッコよさに惚れた人は数知れないのです。次はどこにいつ展示される、などの情報は今のところありませんから、11月3日までの「川崎重工創立120周年記念展」、是非、足を運んでみてくださいね。実物の存在感って、やっぱり半端じゃないですよ!

神戸海洋博物館/カワサキワールド
TEL.078-327-8983
開園時間:10:00~17:00(最終入館 16:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)
入館料:大人600円(高校生以上)、子供250円(小~中学生)




