画像: 「VC-Turbo=可変圧縮比ターボエンジン」の搭載は次期スカイラインクロスオーバーから。今年10月のパリ・モーターショーで発表される(写真はコンセプトカー)。

「VC-Turbo=可変圧縮比ターボエンジン」の搭載は次期スカイラインクロスオーバーから。今年10月のパリ・モーターショーで発表される(写真はコンセプトカー)。

まいどっ、グリコです。今日は最先端技術のお話をしましょう。可変圧縮比(VCR=Variable Compression Ratio)エンジンってご存知ですか? 簡単に言えば、エンジンの圧縮比を走行状態に応じて変えてしまう機構を採用したものです。なにが凄いのかと言えば、たとえばターボエンジンにこの機構を使うと、燃費もパワーも10%以上アップしてしまうんです。

そもそもエンジンというのは、圧縮比が高い方が燃費はいいんですね。ところが、あんまり圧縮比を上げすぎるとノッキングが起きてしまいます。とくに負荷が高い高回転領域ではこの現象が顕著に出てしまいます。だから、ふつうのクルマ(ガソリン車)の圧縮比は10:1とかに抑える(固定する)ことが多いんですね。これに対して一般的な走行では負荷が軽くなるので、燃費を良くするために本来は圧縮比を14:1くらいまで上げたいところですが,今までの技術では圧縮比は固定ですからそんなことはできませんでした。

ノンターボの燃費とターボの高出力をひとつのエンジンで両立

そこで日産が考えたのが、ピストンとクランクをマルチリンク機構で連結してしまう方法です。これによって、市街地走行や高速巡航などの低負荷域では圧縮比を上げ、急加速時などの高負荷域では圧縮比を下げ、ノッキングを回避するとともに出力をアップさせるという仕組みです。この機構は特に圧縮比を上げられない(=ノッキングが起こりやすい)ターボエンジンで効果絶大。過給域では圧縮比を下げて高出力を、常用域では高圧縮に切り替えてノンターボエンジンに匹敵する燃費を両立することが可能になるんです。しかも振動特性も改善されて、静粛性はV6エンジンに匹敵するとのこと。熱効率は40%に迫るというから、ほぼハイブリッド並みですね。

実はこの機構はすでに2005年に発表されていたのですが、いろいろな事情があって今日まで日の目を見ることができませんでした。このたび、「VC-Turbo」というネーミングでようやく実用化されるわけですが、その搭載第一号が判明しました。先日もお知らせした、次期スカイラインクロスオーバーです。2ℓの直4ターボエンジンで、3.5ℓのV6に匹敵するパワーを発揮し、しかも燃費はノンターボの2ℓ車と同等とのこと。VC-Tを採用したエンジンは、この次期スカイラインクロスオーバーを皮切りに、今後の日産車に続々と採用されるでしょう。

画像: クランクとピストンをマルチリンクでつなぐことで上死点を可変式に。圧縮比を走行状態に合わせてリニアにコントロールする。

クランクとピストンをマルチリンクでつなぐことで上死点を可変式に。圧縮比を走行状態に合わせてリニアにコントロールする。

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