「SLC」というとつい先日デビューした、Cクラスベースの美麗な2シーター・クーペカブリオレを思い出します。一方で約40年ほど遡ると、それはそれは勇ましい「SLC」が存在していたのでした。パワートレーンはSクラス譲りながら、ボディは1クラスダウンサイズ。とくに、今回ご紹介する450SLは、ラリーシーンでの勝利を狙って実戦投入された「戦」かう「車」だったのです。戦うクルマにはやっぱり、頼りになるメカニックは必然! ですよね。
画像: 1979年式 メルセデス・ベンツ 450SLC 4.0 498万円ナリ

1979年式 メルセデス・ベンツ 450SLC 4.0 498万円ナリ

ふんわり優雅に…土煙を巻き上げながら疾走!

そもそも世界限定1615台という段階で「なんでそんな希少なクルマが目の前にあるのだろう…」という素朴な、ちょっと緊張感を伴った、疑問が沸き起こります。さらにラリーという思い切りタフなコンペティションで勝つために生まれた…と聞けば、ファンとしてはすっかり「神」なのです。

往時の「SL」(3代目)の血統を継ぐ以上、本来はラグジャリーカーの範疇に入るはず。ましてや2シーターの「SL」に対して4シーターとして「SLC」を名乗るのです。グラベルロードでブイブイ、ズリズリいわしている場合じゃないような気がします。しかし確かに、土煙を上げながら南アメリカの未開の道や雪道を激走する映像が、しっかり残っていました。1978年のラリー。優勝した様子です。一瞬、フロントガラスがゲソゲソのビニールでしたが。

画像: Mercedes Benz 450 SLC, 1978 South America Rally www.youtube.com

Mercedes Benz 450 SLC, 1978 South America Rally

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トランクリッド部には、ささやかながらちょっとだけ勇ましいリヤスポイラーをインテグレーテッド。とはいえ、パっと見た印象は、やはりプレミアムクーペの威圧感と重厚感が圧倒的に強調されたものです。各部のメッキ使いのセンスなどは、とってつけた感がぬぐいきれない最近のモデルたちとは、ひと味違っているように思えます。

画像: ラリーシーンは、このSLCの魅力を物語る、ほんの一部分にすぎません。内装は、ウッド使いやレザーの質感など、しっかりクーペらしいゴージャスな仕立てでした。

ラリーシーンは、このSLCの魅力を物語る、ほんの一部分にすぎません。内装は、ウッド使いやレザーの質感など、しっかりクーペらしいゴージャスな仕立てでした。

画像: エンジンは5LのV8ユニットで、当時としてはシリーズ最強の240PSを発揮していました。「500SLC」のエンブレムは、ご愛嬌ということで…

エンジンは5LのV8ユニットで、当時としてはシリーズ最強の240PSを発揮していました。「500SLC」のエンブレムは、ご愛嬌ということで…

タフなラリーも旧車とのお付き合いも、メカニック次第か?

V8エンジンなどのパワートレーン系のメンテナンスももちろんですが、上級クーペとしての質感や、安心して使うための装備系のコンディションに至るまで、こうした「特別な」クルマを愛で続けるためには、相応の覚悟とともに頼りになるプロショップのサポートはやはり欠かせません。

『ベンツオート』の田中幸の準社長は、このSLCが現役だった頃からメルセデスと付き合ってきた、エキスパートのひとり。70〜80年代の「よき時代」を知り尽くした職人ならではのテクニックは、それ自体が貴重なものになりつつあります。この世代の名車たちを「少々遅ればせながら」でも付き合っていくためには、そんな職人さんたちとのコネクションは不可欠。「愛し方」ってホント、いろいろあるもんなんですね。

画像: V12エンジンのオーバーホールも、鼻歌まじりでこなしてしまう生粋のクルマ職人、田中社長。まさに「特別な腕」の持ち主だ。 www.benz-auto.net

V12エンジンのオーバーホールも、鼻歌まじりでこなしてしまう生粋のクルマ職人、田中社長。まさに「特別な腕」の持ち主だ。

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