今週末の開催が注目される「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムレース」。ロレンスでも注目し紹介してきたロードレースだ。今回は、バイク雑誌などを中心に活動し、昨年公開されたロレンス初のオリジナルムービーの演出・撮影も担当した、フォトグラファー・藤村のぞみさんによる寄稿をご紹介したい。

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムレース。
Race to the clouds! と謳われるこのレースは、コロラド州デンバーから100マイル程南に位置するロッキー山脈の一つ、パイクスピークの頂上4,302mを目指す約20Kmのヒルクライムレース。
100周年の アニバーサリーイヤーでもある今年、66の車と35のバイクのエントラント(6月8日現在/100周年にちなみ100台のエントリーとのことだったが微調整が行われている模様)があり、バイクの中で2輪は3組 (エレクトリックバイク/岸本ヨシヒロ、ミドルウェイト/伊丹孝裕、サイドカー/Team Rising sun 渡辺・大関 チーム)の日本人達がエントリーしている。

フォトグラファーの私は2013年、本業はモーターサイクルジャーナリストでもある伊丹さんが参戦すると聞き、PIKES PEAKに同行した。標高4000m近辺でカメラを2台持っての撮影は、高地トレーニングなしでは不可能だったと現地に行って痛感した。そんな場所をめがけ人もマシンも調整し、それぞれの目標を目指す。未知の世界が多すぎるこの歴史深いレースが草レースなところもまた興味深いことの一つだろう。

画像1: PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

そして今年、伊丹さんはHusqvarna 701 SUPERMOTOで3度目の挑戦をする。
ハスクバーナ・モーターサイクルズ・ジャパンの協力の元、マシンはM.S.C.Haraにて用意。セッティングは標高4300mを超える低酸素地でもフルパワーを発揮させるべく、埼玉のショップ「ジャム」に託し、現地でのメカニックはハスクバーナ東名横浜の大崎代表が担当することになっている。ワンオフスリップオンマフラーは46works製。タイヤはダンロップのスポーツマックスα13SPが装着されている。

画像: PHOTO:TAKESHI YAMASHITA

PHOTO:TAKESHI YAMASHITA

2013年、Triumph SPEED TRIPLE R で無念のリタイア、2014年、MV AGUSTA F3 800 で無事完走9位 、そしてKAWASAKI Ninja H2 での出場を断念(レギュレーションが改定されたため。純正でバーハンドルを装備している車両しか参戦できない)を経て2016年の今年、Husqvarna 701 SUPERMOTO で頂上を目指す。

タイプの違う車両を乗り継ぎながらも何故挑戦するのか、などと今更野暮なことは聞くまい。山があれば登るのは世の常、それがオートバイならタイムトライアルするのは当然である。伊丹さんにひと言、プライベーターでありながら3度も挑戦するその魅力を語ってもらった。

「やっぱりあの景観が他の競技にはない最大の魅力でしょうね。レースウィーク中は毎日深夜から準備を始めて早朝に走り出すのですが、地平線の向こうからだんだん上ってくる太陽の光と暖かみを背中に感じながらスロットルを開けるんです。それはもうなんとも言えない美しさと心地よさで、かと思えば時に極寒を思わせる吹雪や灼熱の暑さに見舞われたり、と状況が刻々と移り変わっていくんですね。そんな環境の中でいかに自然と寄り添って走るか。そういう醍醐味がパイクスピークならではのものだと思います。」

画像2: PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

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画像3: PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

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PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

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PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

プラクティス、予選は頂上へ向かう有料道路がオープンされる前に行われる。つまり通常は入れない時間帯にレースウィーク中だけ通行が許されるのだ。

地元の人、アメリカの人達はこの時がどれだけ特別か、十分知っている。
日本人の「初日の出」と通じるような神的な時間。まだまだ開けぬ漆黒の空に響くエキゾーストノート、ガソリンの匂い、車両の積み降ろしの音と共に偉大なる山で迎える特別な夜明け。ここでは自然とレースは共鳴している。

実際滞在してみて、この地に根付くレース文化にとても衝撃を受けた。町をあげて、全米、世界中からからゲストが訪れるファンフェスタでは伊丹さん達レーサーに群がる子どものなんと多いことか。

画像4: PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

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画像5: PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

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参戦する人は皆ヒーロー。初出場のその年、惜しくも転倒、リタイアした伊丹さんがトランポされて戻ってくると、駆け寄ってなんとサインを求めた男の子達がいた、1人や2人じゃなかった。伊丹さんも心が折れてる場合ではなかっただろう。

画像6: PHOTO:NOZOMI FUJIMURA

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語ればきりがない、まずはぜひ、この世界で唯一無二のヒルクライムレースに注目していただきたい。まだの方はHPのトレーラーだけでも見ていただきたい。2分7秒の映像を見終わったら、きっともっと知りたくなるはず。

プラクティスは21日、予選は22日から3日間行われ、24日夕方5時からファンフェスタ、決勝は26日に行われる。HPほか、各エントラントを網羅、決勝当日にはリザルトが速報されるモバイルアプリもあるので伊丹さん始め日本からエントリーした3組の選手達の事もぜひ、応援してもらえればと願うばかりです。

文:藤村のぞみ

●モバイルアプリ「PPIHC」:iOS用(上)Android用(下)

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