(Motor Magazine 2016年5月号)
ボルボ通には懐かしいネーミング
V90の名前を覚えている人は相当のボルボ通だろう。1997年、当時の960エステートがモデルチェンジでV90を名乗ったのだが、その期間はわずか1年、98年には生産が終了している。その後、ボルボのエステートのフラッグシップは、V70へとバトンタッチ。長らくV90は生産されていなかったが、そんなV90の名前が復活した。当然、〝90〞の名を冠するということはラインナップの頂点という位置づけである。これにより90シリーズは、SUVの「XC90」、セダンの「S90」、そしてワゴンの「V90」が揃った。
ところで、先日、世界中の自動車メーカーのカーデザイナー18人が選ぶ「プロダクションカーデザイン・オブ・ザ・イヤー2015」にボルボS90が選ばれるというニュースが入ってきた。そしてそのデザインエッセンスをV90も持っている。そしてこのボルボのデザイン部門を率いるのが、トーマス・インゲンラート上級副社長である。
彼のデザインは、世界各地のカー・オブ・ザ・イヤーで賞を獲得したコンセプト三部作(13年フランクフルト/コンセプトクーぺ、14年デトロイト/コンセプトXCクーペ、14年ジュネーブ/コンセプトエステート)に表現されているが、これらすべてのコンセプトカーが90シリーズとして姿を現したのである。
90シリーズの第三弾 V90
さて90シリーズの第三弾、V90を改めて見てみよう。これはまさに14年のジュネーブオートサロンで発表されたコンセプトエステートを市販モデルにしたそのもの。注目すべきはそのプロポーションである。
伸びやかでエレガントなエクステリアデザインは、美しい!という言葉が聞こえてきそうである。LEDヘッドライトに北欧神話の雷神が持つトールハンマーをデザインしているのはXC90から始まった新世代ボルボのアイコン。どこからでもひと目でボルボだとわかるのである。
さらにインテリアに目を移すと、そこに広がるのはスウェーデンの癒しの空間。もしくは居心地のいい場所という表現の方が最適かもしれない。XC90でも使われている最上級の素材やシンプルな操作系などすべてが吟味され厳選されたフラッグシップに相応しい内容だ。このV90、早く乗ってみたい1台である。(Motor Magazine 2016年5月号)