ZIIはZII。色あせることはない。
最新のネイキッドモデルである ドゥカティのモンスター821やBMWのR nineTを試乗したことで、自分の愛車が色褪せて色褪せて見えるかと、少し心配していたのだが、結局のところ”そうでもなかった”(笑)。やはりZIIはZII、愛車はいつだって面白いし、変わらず楽しいモーターサイクルだった。
モンスターやR nineTに比べれば加速は鈍いし、まあ遅い。それでも今の交通の流れの中にあって、十分にオートバイならではの自由さを味わえる性能は備わっている。最新のモーターサイクルの、調律されて洗練されたエンジンの鼓動や音と比べると、よく言えば野性的、悪く言えばリズムをときどき外す空冷マルチは、あくまで人間的だ。
始動するときには、真冬でも真夏でもチョークを引いて、数回セルを回してから鷹揚に動き出すエンジンを、数分間暖めてからでないと調子が出ないし、走り出しても、全体にオイルが回りきって、マフラーから溜まったガスが抜け切るまでブスブスと嫌な音を立てて、幾度も軽く失速するから安心できない。低血圧で起きたてがひどく怒りっぽい彼女を、なだめてデートにでかけるようなものだ。
オートバイは結局、車に比べるとライダーが自ら積極的に走りに関与していかなくてはならない乗り物だから、優等生よりも、若干面倒臭さを残している問題児であったほうが、面白さを感じたりするものである。
それに、遅いとはいえ、ZIIはいまでも現役のバイクで、きびきびと走って周りの車たちをリードしていくことができる。スロットルを捻ると一瞬呼吸してからグイッと加速するさまは、若さゆえの俊敏さとは違うが、かつて日本の公道で全てのライダーから賞賛を浴びた過去の王者の貫禄を感じるのである。
10年ぶりの浅草。バイクを停められる場所が少ないのには閉口したが・・
写真はゴールデンウィークにふらりと(少し良さげな)ランチを求めて、浅草までZIIを走らせにいったときのものだ。GW中とあって人は多く、停める場所を散々探したあげくに、狭い路地にこじんまりとしたバイク専用駐輪場を見つけることができた。(1日 500円という一律料金で、ヘルメットなどを収めるボックス付き)
ランチは鰻の蒲焼。
ご飯はもちろん少なめで(笑)。
浅草はよく考えたら10年ぶりくらいに来た。最新のビルが並ぶ新しい街もよいが、変わらない風情を湛えながらも、若く新しい人たちを惹きつける旧い街もまた魅力があるし、クラシックなバイクで乗りつけるには、また実に丁度いい場所であった。