米国の起業家イーロン・マスクと言えば、いまや知らない人のほうが少ないかもしれない。電気自動車・テスラでお馴染みのCEOである。ただ、彼がCEOを務めるEV(電気自動車)開発・販売企業のテスラは知っていても、イーロン・マスクがテスラ以上に情熱(とカネや時間)を費やしている宇宙ロケット開発企業 Space Xのことを詳しく解説できる人は、そう多くはいないのではないか。

Space Xはつい最近、宇宙ロケットを打ち上げるとともに、ミッションを終えたロケットを、海の上に置かれた洋上無人艀に着陸させることに成功した。このニュースは世界的に報道されたが、ほとんどの人は、イーロン・マスクがなぜこの実験をしたのかを理解していないかもしれない。

Space Xを理解するには、まず、従来の宇宙ロケットというものが「使い捨てである」ということを理解する必要がある。現代の宇宙ロケットは一度使ったら、もう使えない。非常に高価な消耗品なのだ。

Space Xが取り組んでいるのは、再利用可能なロケットを作ること、だ。再利用可能というのは、すなわち、大気圏外に飛び出たあとで、再び地表に戻り、破損することなく着陸することである。Space Xがこれまでロケットを飛ばす実験よりも、着陸実験を繰り返しているのはそのためなのだ。

さらに言うと、地上に着陸させるよりも洋上に着陸させた方が(万が一の際に)安全である。だから洋上での着陸を成功させた、というのは実に大きなニュースなのだ。

宇宙ロケットが繰り返し使えるようになれば、飛行コストは下がる。そうすればいつか有人飛行を可能にさせたときに、より多くの民間人を宇宙旅行に連れ出すことが可能になる。そうした背景を知った上で再度このニュースに触れれば、その凄さを改めて感じてもらえると思う。


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