短尺のループ動画共有サービスVineの共同創設者(Vineは創業前にTwitterに買収された、サービスであるため創業者ではなく創設者と呼ぶ)のドン・ホフマンがリリースした、「Peach」という新しいSNSが話題となっている。
Peachとはもちろんピーチ、桃だ。ちなみに、Vineとはブドウを意味する。ホフマン氏がフルーツ好きなのかどうかは知らないが、ネーミングに共通性をもたせていることから、同じように近いうちに大手SNSに売却するつもりのサービスなのかもしれない。
Peachについては、さまざまなテックメディアが論じているが、TumblrとFacebookのハイブリッドであるとか、Snapchatに近いメッセージアプリであるなどと、人によって捉え方はやや異なるようだ。あくまでリアルな友人とのつながりを基点にしたサービスであり、オンラインでの仮想的な友人を増やすサービスではない。その意味では、LINEやSnapchatと同様にメッセージアプリであると評することができる。
同時に、独り言のように、今の自分の気分やステイタスを綴ることも可能で、特定の相手、および友人として繋がっていることを前提とする特定多数の相手に情報を送信することが可能だ。
短めのテキストと、自ら撮影した写真や動画などを自由に投稿できると同時に、マジックワードと呼ばれる短いテキストのコマンドによって、サービス内に用意されている楽しいGIFアニメを呼び出したり(コマンドは GIF)、今の天気を簡単に投稿したり(コマンドは Weather)、今いる場所の位置情報を投稿したり(コマンドは here)することができる。
このマジックワードというコマンドが、Peachの最大の特徴であり、面白いところなのだが、こんな機能はすぐにFacebookにコピーされてしまうだろう。僕にはこのPeachが単体のSNSとして、いまのソーシャルネットワーク市場で新しい居場所を開拓できるようには思えない。
Snapchatのアイデアも、見たらすぐに消える写真や動画を送信、というシンプルなものだったが、そのアイデアだけに絞り込んだ潔さがSnapchatの大流行を生んだ。消える動画も作れるし、そうでない動画も送れる、テキストも送れるし電話もできる、というような複雑で総合的なサービスの中に、保存されないコンテンツの交換というアイデアを埋没させなかったからこそ、Snapchatはブレイクしたのだ。
Peachは、面白いサービスだが、Twitterに売りつけるための瞬発力命のアプリだと僕は見ている。