Twitter が、CMO(Chief Marketing Officer=最高マーケティング責任者)として、レスリー・バーランド女史を指名した。もともとアメリカン・エキスプレスの国際広告・マーケティング部門と、デジタルメディアとのパートナーシップ部門のExecutive Vice Presidentであったという。
ジャック・ドーシーがCEOを務めるもう一つの企業スクエアは、アメリカン・エキスプレスとの関係が深く、今回の人事はジャック・ドーシー主導で行われたと思われる。バーランド女史のTwitter入社は2月になる。
Twitterは、1月下旬に幹部社員4名が退社するというニュースが流れ、大きく株価を下げた。退職したのは、メディア部門のケイティ・ジェーコブス・スタントン、プロダクト部門のケビン・ウェール、エンジニアリング部門のアレックス・ロエッター、人事部門のブライアン・シッパーの4名で、それぞれが各部門の責任者であったことから、市場の動揺は大きかった。さらに、Twitterの短尺動画投稿サービス「Vine」責任者のジェイソン・トフも退職し、Googleに移籍してVR部門に就くという。日本国内では若年層を中心に人気回復しているとされるTwitterだが、世界的に見れば、やはり混迷の極みにあるとみられている。
ジャック・ドーシーは、自身が演じる”カリスマの復帰”を信じることができずに退職を選択した幹部社員たちに対して、これまでの働きへの感謝と、自分とTwitterの新しい未来を作ることを断念してしまった彼らの決断に対する遺憾の意をツイートした。伸び悩むTwitterを救うため、レイオフや新機能のリリースなど、打てる手を次から次へと発表しているジャック・ドーシーだが、現実問題として、彼が敬愛し自らをなぞらえ続けているスティーブ・ジョブズにならって、古巣であるTwitterを救えるかどうかは、いまのところ不透明なままだ。
ジョブズが戻ってきた頃のAppleと同様に、いまのTwitterには二つの問題点がある。
Appleには、販売面での落ち込みに加え、魅力ある新製品(OSもそうだしハードウェアもそうだ)の開発が遅れているという問題があった。同じようにTwitterにも将来的にトラフィックを換金できるというマネタイズでの証明と、新しいユーザーを惹きつける魅力をもったサービスの開発が必要だ。
ジョブズは復帰後、iMacというスマッシュヒットを生んで、Appleを救ったが、ドーシーもまた同じミラクルを見せる必要がある。TwitterにおけるiMacを作り出し、軌道に乗せることこそが、市場がジャック・ドーシーに望むことだし、それは彼にしかできないことだと皆が考えていることなのである。
そして、マネタイズに関するドーシーの一手が、バーランド女史のCMO任命だろう。
彼女のCMO就任は、彼らの退職決定以前に交渉され、決定されていたものと考えるが、果たしてTwitterを救うジャンヌ・ダルクになれるのだろうか??
Twitterの正念場は、この夏にも訪れることだろう。