工場の煙に覆われた螢光町の片隅にある、「光クラブ」と名づけられた少年たちの秘密基地。その場所で、ある崇高なる目的のために作られた「機械」が目を覚ました。「機械」の正体とは――!? 80年代、伝説の劇団「東京グランギニョル」の舞台を、鬼才・古屋兎丸がマンガ化した衝撃作。
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映画化される、ということで、ロレンスでも紹介済みの「 ライチ☆光クラブ 」。

ちょっと気になったので、原作読んでみましたよ。ちなみに、少年たちの初めての出会いを描いた、ルーツ的作品「ぼくらの☆ひかりクラブ」(上下)もちゃんと読みました。

少年なら絶対覚えのある衝撃の妄想

男の子なら誰でも、人気のない公園とか、廃屋とか、まあほんと人がこないような場所を見つけては、秘密基地にしようと考えたこと、ありますよね??それで、いつか世界征服しちゃおうとか考えたりw

浦沢直樹先生の傑作漫画『20世紀少年』のプロットって、もしかしたらこの作品からインスパイアされたのかな?と思ったりするほど、この二つの作品の設定はよく似ています。

要は、少年たちが集まって秘密結社(本作では光クラブ)を作って、ロボット作って世界征服しちゃうぜ、みたいな。

画像: ©古屋兎丸先生

©古屋兎丸先生

妄想を逸脱して、狂気に落ちていく少年たち・・

違うのは、本作ではナチスに倣ったような設定や言動、規律が早い段階で組織に盛り込まれていくこと。それと、少年たちが大人を醜いものと強烈に断じていることと、その反対に美少女に対する背徳なまでの性愛の意識がとぐろを巻いていることです。

光クラブの”皇帝”ゼラは、緻密な頭脳の持ち主で、強力なロボット ライチを作り上げて、大人たちを抹殺して、世界征服しようと本気で考えています。ゼラと”性的”な関係を持つ美少年ジャイボに比べると、他の少年たちは実はある意味洗脳されているだけで普通の子供達なのですが、勢いに巻き込まれると、人間ってどのようにもなってしまうものです。
ゼラの命令に従って、殺人を犯すこともためらわなくなっていくのです・・・ああ、怖。

画像: 可愛らしい少年の秘密結社は、ドイツナチスを模した組織に変貌していく。

可愛らしい少年の秘密結社は、ドイツナチスを模した組織に変貌していく。

画像: 精密なロボットを作り上げていくメンバーたち

精密なロボットを作り上げていくメンバーたち

グロテスクな世界、でも根底にある少年たちの意識は誰にでも覚えがある・・

やがてロボットを完成させたゼラたちは、ライチと名付け、自分たちと同じ年頃の美少女を誘拐してくるように命じます。

ライチは最初こそ美醜の区別や、老若男女の区別がつきませんが、やがて、絶妙な美少女カノンを誘拐してくるのです。

そして、ゼラを始め、少年たちは(14歳という性に目覚める時期でもあり)捕虜であるはずのカノンに、密かに歪んだ欲望を抱き始めます。(カノンに惹かれるのは少年たちだけでなく、ロボットであるライチでもあったのです)
それが徐々に、光クラブの試みを残酷な悲劇へと導くこととは知らずに・・・。

画像: ライチと名付けられたロボットは、美少女カノンを誘拐してくる

ライチと名付けられたロボットは、美少女カノンを誘拐してくる

本作は、かなーりグロいです。
食事時には絶対読んじゃだめです。電車の中もやめましょう、周囲に気付かれたら引かれちゃうかもです。

しかし、無慈悲な狂気に踊らされていく少年たち、そして少年たちをよりいっそう狂わせてしまう美少女の無邪気な魅力。そうした世界観は、オスカー・ワイルドの小説に近いような耽美的な魅力があります。

男の子なら誰でも思い描いた中二病的世界。本作をどのように映画化するのか??本当に同じストーリー、表現をリアルに描ききれるのか?

映画のほうに、期待、というか、強い関心がでてきました。

画像: グロテスクな世界、でも根底にある少年たちの意識は誰にでも覚えがある・・

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