本日10月28日は、第44回東京モーターショーのプレスデーでした。いろいろ興味深い各メーカーの展示を楽しませていただきましたが、一番衝撃を受けたのはヤマハの、とある展示でした。
ヤマハYZF-R1に乗るのは、一体誰なんでしょう・・・?
この「MOTOBOT Ver.1」は、モーターサイクル本体はスタンダードそのままで、人間がなにげにこなしている車両操作という能力を研究・解析するために作られた、ライディングロボットなのです。近年は各自動車メーカーなどが、乗り物の自律走行や操縦支援技術を盛んに開発していますが、ヒト型自律ロボットを使って、普段我々が接しているのと同じモーターサイクルの操縦をさせる・・・という開発コンセプトは、非常にユニークと言えるでしょう。
ロボット開発を通して、「人間」を学ぶ。
MOTOBOTが掲げる目標のひとつは、モトGPで6度のタイトルを獲得したバレンティーノ・ロッシに、サーキットでのラップタイムで近づくこと・・・です。MOTOBOTは、速度、エンジン回転数、姿勢などの情報を元に、搭載する6つのアクチュエーターを制御することでステアリング、スロットル、アフロントとリアブレーキ、クラッチレバー、シフトペダルを操作。自律的なモーターサイクルの運転操作を可能にしています。
今後は高精度GPSや各種センサーなどの開発で、自車位置を認識する技術を導入したり、機械学習の採用により、サーキットの最適ラインやモーターサイクルの性能限界を、MOTOBOT自らが判断し、ラップタイプを向上させることを目指しているそうです。
MOTOBOTの開発は、先述のとおり運転自動化のひとつのアプローチではありますが、モーターサイクルを操縦するロボット自体を商品化する意図はないでしょう。MOTOBOTを研究開発することで、車両を操作する人間の情報の可視化や解析、そして人間の操作による車両の挙動の関係の研究など、ヒトがモーターサイクルを操縦することのメカニズムを学べることが、一番の利益になるのです。
より安全かつ快適な車体制御技術の確立、そして人に官能を覚えさせるモーターサイクル造りの模索などなど・・・MOTOBOT開発で得た数々の成果は、きっと今後のヤマハ製モーターサイクル作りにプラスになるでしょう(また、その他の乗り物にも、その技術の応用が期待されます)。
MOTOBOTには、開発ロードマップが設定されています。2015年に最高100km/hの直進走行、スラローム走行、旋回走行の達成。2017年は人間の運転を上回るパフォーマンス要件を解明し、最高速度200km/h以上でのサーキット走行を目指す。そして2020年には、MOTOBOT開発で得た成果を、お客様に提供することを目指す・・・。
2020年は、打倒V.ロッシを実現!と力強く宣言して欲しかった!・・・ですけど、それはまぁこちらの勝手な要望ですね(笑)。上記の要望は、MOTOBOTが心を得ることに成功した時に、直接本人・・・もとい本ロボット?に伝えることにします(笑)。