私、フレッドのナイショの話をお届けします。
M郎は三本の指を立てて微笑んだ。
こんばんは。朝でも昼でも真夏でもこんばんは。
私、フレッドです。
今回は、私の十年来の友人、M郎のお話をします。彼は、恋愛マニアというか、偏執狂(パラノイア)で、常に3人以上の女性と同時並行的に交際していないと精神バランスを崩す、という厄介な男です。
「最近どう?」と私、フレッドが訊くと、M郎はいつも指を三本立てて微笑みます。三人の女性と付き合っているよ、というサインです。
三人いないと「捨てられたらどうしよう」という妄想に怯える
M郎に言わせると、彼は病気なのだそうです。どんなに好きで、心の底から入れ込む相手がいたとしても、他の女性につい目が向いてしまう。どうしても一人には満足できないのだそうです。
たまに彼も自分の性分を反省して、一人だけの相手を愛し尽くそうと努力をしてきたとのことですが、すると相手に入れ込みすぎて、彼女が浮気をしているんじゃないかとか、捨てられたらどうしよう、というような妄想に取り憑かれて仕事も手につかなくなってしまうといいます。
「SEXしているときにも、少しでもいつもと違う反応が見えると『他にオトコがいるのか??』って思っちゃうんだよ」とM郎は、この時ばかりは若干寂しそうに言います。”思っちゃうんだよ”じゃあないよ、と私、フレッドは心の中で少し舌打ちしますが、そういう性分ならしょうがないとも思います。
そこでM郎は、そういう妄想を抱かないように、二人目の彼女を作ってみたそうですが、それでも「二人とも俺を裏切ったらどうしよう」と考えてしまう。しょうがないので、三人目を作ったら、「一人二人に逃げられたとしても」さすがに三人いればだいじょうぶだろう、と、初めて心に平安が生まれたそうです。
M郎は悟ったのです。俺には三人の彼女が必要だと。
私、フレッドは、あまり同時並行的に何人も女性と遊ぶことはありません。元来めんどくさがりなのであります。いえ、真面目なのだ、と言っておきましょう、私、フレッドはそういう男なのです。
M郎は、そう悟って以来、常に三人以上デートする女性とキープすることに躍起になりました。三人を欠けることがあると、気が狂ったような勢いで候補を探しまくり、三人目をゲットするまで夜な夜な街に繰り出します。
ある意味、可哀想な男、と言えるかもしれません。
みなさんの周りにも、M郎のような男はいませんか?彼ほどマニアックではなくても、大なり小なり似ている男はいますよねえ。
女性のみなさんは、意外に一途な男の方が少ないのだという嫌な真実を受け入れたくないでしょうが。
私、フレッドは真面目な、一途な男です。そういう男なんです、私、フレッドは。