米国では続々と、同性同士の結婚が法的に認められるようになっている。
しかし、1979年のアメリカは、カリフォルニアであってもゲイへの風当たりはとても強かった。本作は、ふとした出来事からダウン症の子供を引き取ることになり、家族として生きていこうとするゲイの男性カップルの姿を描いている。基本的なプロットは実話からきている。

差別と混乱の時代に翻弄されるゲイのカップル

主人公ルディはドラッグクイーン。客としてきていた法律家のポールと恋仲になるが、隣に住んでいた女が薬物所持と使用で逮捕されたことから、彼女の息子でダウン症のマルコを引き取ることになる。本作のタイトルである『チョコレートドーナツ』とは、マルコの大好物のことだ(ただし原題は『Any Day Now』)。

ポールはゲイと知られれば職を失う。だからルディをいとこと偽る。
ルディにはそれが気に入らない。

その二人の確執が、やがて不審感を伝えることになり、彼らの関係は周囲に知られることになる。そして、ゲイのカップルに子供を預けることを恐れる”良識”と”分別”のある周囲の圧力で、マルコは二人の元から引き裂かれ、施設に預けられるようになるのだ。

これを不服としたルディとポールは、裁判に訴え、マルコの親権を求めて争うことを決意するが、あえなく敗れてしまう。ルディとポールは、敏腕の黒人弁護士ロニーに援軍を依頼し、控訴する。果たして二人はマルコを取り戻すことができるのか・・・。

画像: ドラッグクイーンとして働くルディと、ゲイであることを隠して生きている弁護士のポール www.youtube.com

ドラッグクイーンとして働くルディと、ゲイであることを隠して生きている弁護士のポール

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画像: 母親が逮捕されて家庭局に保護される、ダウン症の少年マルコ。 www.youtube.com

母親が逮捕されて家庭局に保護される、ダウン症の少年マルコ。

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画像: 薬物依存で逮捕されてしまうマルコの母親 www.youtube.com

薬物依存で逮捕されてしまうマルコの母親

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我々にも忍び寄る差別する心

この物語は、ゲイの愛情の話ではなく、親子の愛情の話でもない。
差別に立ち向かう人間の話だ。

ルディはカミングアウトをためらうポールに対してこういう。「あなたはキング牧師とは違うのね」と。
そしてポールは言う。状況が違うと。

しかし実は同じことだ。いまでは人間はさまざまな差別意識から自由になることができずにいる。
人とは違う、ではなく、自分とは違う。それだけの理由で人は誰かを差別する。
差別を受ける人間は、それに甘んじていては世界を変えることができない。そして同時に、立ち上がる人間だけが、差別する心を恥じて応援にまわる支援者を得ることができる。
それに気づいたポールは、ルディと共に闘いを決意する。

マルコは二人と暮らすことができるのか。二人は差別を跳ね返してマルコと共に幸せになれるのか。
それは本編を観ていただくほかないが、1979年から36年経ったいまでも必ずしも差別というものは消え去っていない、自分と異なる相手を本能的に忌避する感情は誰の心にもあり、ときとして鋭い刃や猛々しい毒として表面に顕れる。

そんなことはない。あなたはそうやって胸を張って答えられるだろうか。

『チョコレートドーナツ』予告編

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