こんにちは!今日も新しいバイク用語勉強していきましょう!今日の教えてワードはこちら♩
スリップストリーム
「スリップ」は「滑る」、「ストリーム」は「流れる」という意味がありますよね!
この語源の意味とバイクはどう関係しているのでしょうか?
それでは詳しく教えていただきましょう!教えて、ロレンス編集長〜〜!?
正しいお答え: from ロレンス編集長
はい、お答えします。
「スリップストリーム」とは、空気抵抗に逆らって高速で移動する物体の、後方直後の空気圧が減少する現象のことです。主にレースでストレートなどを走っている、先行マシンの真後ろについて走る時に用い、「スリップストリームに入る」などと言います。語源でいうと、「スリップ(slip)」が滑り込むとか逃れる、「ストリーム(Stream)」は流れという意味がありますので、流れに滑り込む、流れから逃れる、という意味となるのかな。
マシンにもよりますが、ストレートで時速300km/hを超えるレーシングマシンは、大変な風圧を正面から受けて走っています。後続車はこのマシンの真後ろにつくことにより、この風圧による空気抵抗を軽減することができるのです。スリップストリームに入ると、マシンが空気抵抗をほとんど受けずに走ることも可能となり、先行車よりエンジンパワーに余裕ができます。また、先行しているマシンの真後ろは、空気が薄くなることで発生する、負圧という力も働くことがあり、スリップストリームによりマシンを前に押し出す効果すら期待できるのです。
このように空気抵抗が少ないことによる、パワーの余裕分などを使ってストレートが終わる直前で、先行車の真後ろから横に出て、いっきにその前に出ることが可能となります。これは、タイムを競う(スピードを競う)あらゆるレースでみられます。自動車レースはもちろん、自転車レースや人が走るマラソンなどでも使われているのです。それほどスピード競技では、空気抵抗を制することが重要な課題となっているのですね。
マシンパワーで大きく差をつけることができれば、直線で引き離したり追い抜いたりできるかもしれませんが、レースマシンは排気量など様々な制限の中で開発されますので、そのような差をつけることはほとんどできません。また以前、水泳競技でスピードレーサーという、抵抗の少ないハイテク水着が話題になりましたが、レースマシンも空気抵抗を減らすために、カウルやスポイラーなどの空力デザインが進化してゆきました。しかし、これも空気抵抗をなくすことは不可能です。
ですので、レース中はスリップストリームなどの自然現象も利用して、0.1秒でも他者より速く走る努力を積み重ねているのです。
スリップストリームは、アメリカで人気のNASCARという自動車レースを見るとわかりやすいです。このレースはオーバルコースといって、楕円形のトラックを走ることを基本としたレースで、直線と大きな2つのコーナーしかないので、ほぼ最高速度で走り続けることとなります。またNASCARはボディのデザインに制約があるので、空気抵抗の大きなマシンで競うことになり、そのため各車はスリップストリームを最大限に利用するのです。写真のように、先行車のテールにぴったりとくっついて走る様子は、とてもスリリングで迫力がありますよ。