クルマ通でない限り、日本人、特に女性だとランチアというクルマメーカーを知っている人は、ほとんどいないでしょうね。我々にはあまり馴染みのないメーカーですが、1906年に設立されたイタリアの名門。現在はフィアットの傘下で一つのブランドとして存在しています。
そのランチアの名前を、燦然と輝かせているのが、このランチア・ストラトス。「成層圏」を意味する名前を冠した、名車中の名車です。
ストラトス(STRATO'S )は、ランチアが製造したスポーツカー。世界ラリー選手権(WRC)で勝利することを目的に開発されたホモロゲーションマシンである。
ホモロゲーションとは、(このストラトスに限定して簡単にいうと)一般に販売されている車両=市販車をベースにするレースにおいて、それが確かに市販車と言っていいかを規定する規格です。逆にいうと、最初からレースに出すことを前提に開発したクルマを市販車として認めてもらうためのルール、と言ってもいいです。最小販売台数などの取り決めがそれにあたります。
ストラトスはラリー競技専用のホモロゲーションマシンとして開発され、多くの勝利を積み重ねた名車です。ラリーだけでなくサーキットでのレースにおいても実績を残しています。
市販されたストラトスには、フェラーリ・ディーノ246GTと同じV6 DOHC2,418ccエンジンを搭載されているのですが、これがまた、ディーノの心臓とラリーで実証された戦闘力の組み合わせで、スポーツカーファンの心をがっちりつかむことになります。
大パワー、300km/hオーバー!みたいなクルマが好きな人と、小型軽量でキビキビ走り回るクルマが好きな人って、けっこう分かれると思いますが、ストラトスは後者の範疇ながら、意外にみんな好きという気がしますね。
見ての通り、ちょっと異形と言えるほどのスタイリングはまさに宇宙的というか未来的というか。ランチア・ストラトスが一般の目に触れられるようになった1970年代では、見た目だけでいうと、ストラトスかカウンタックか、というくらい、そのインパクトあるデザインには注目が集まっていたようです。好き嫌いがはっきりしやすいクルマと言えますね。
実はぼくは、今年に入って、麻布十番あたりでこのストラトスに出くわしたことがあります。
こちらはバイクに乗っていたのですが、横をガァーっと抜いていったやたら低いクルマに驚いて見てみると、なんとこのストラトス。
生産台数の少なさからも、40年ほど前のクルマであることからも、なかなかお目にかかることができない幻のクルマです、うっかり15分ほどストーカーのように後ろを追いかけてしまいましたw。
とにかく音がいいし、今みてもどうにも違和感がある、2010年代にあってもSF的なデザイン。ほんとにインパクトがあるクルマなんです。
いま買おうと思っても、まったく中古市場に出てこないストラトス。もし売ってもいいよ、という人がいたら、ぜひご連絡ください!(お金があったら買います!w)