2015年3月に正式発表された最新のV8フェラーリ
488GTBは、V8気筒3,902ccのエンジンを積む、ミッドクラスのフェラーリだ。2015年3月のジュネーブ・モーターショーで詳細を公開された最新のフェラーリでもある。
V8エンジンをミッドシップ(運転席と後輪の間、つまり車の全長のちょうど真ん中あたりにエンジンを置く方式。当然前後のバランスがいいから運動性能がよくなる)でツーシーターというコンセプトで作られたフェラーリは、1975年にデビューした308GTBが最初だ。
308GTBの後継者はF355やF430、F458イタリアなどがあり、この488GTBは、その伝統の最新の継承者ということになる。
前述のようにV8 3,902ccのエンジンに直噴ターボを備えた結果、488GTBの最高出力は670馬力を誇り、なんと最高速は330km/h以上、発進から100km/h到達までに必要な時間はわずか3.0秒。圧倒的な高性能を誇る。
エロさもゴージャスさもわかりやすく納得しやすいことがメリット
僕は、実はいわゆるスーパーカーにはあまり興味がない。
車は好きだし、速くてパワフルな高性能車であるに越したことはないのだが、5,000ccを超えるような巨大なエンジンを腹に納めたおかげで、ボディも肥大化したモンスターたちを欲しいとは思わないのだ。だから好きな車となると、ポルシェやBMW(特にM3やM4クラス)のように、比較的軽量で小型・中型な、常用的なスポーツカーということになる。
その意味では、このフェラーリ488GTBは、全長/全幅/全高 4,568 mm / 1,952 mm / 1,213 mm。日本の立体駐車場にこそ入らないが、ほどほどの大きさで、日本の公道を走っていてもそれほど大きな違和感はないと思われる。
僕にとっても、自分がステアリングを握って運転する気になれる(買えるとはもちろん言わない)範疇に入っているフェラーリだと言える。
ところでスポーツ走行を楽しむ、という趣味的な目的を持つ対象としては、最近の僕はほぼモーターサイクルに集中しており、改めて速い車を買おう!というモチベーションがない。ないのだが、欲しくないわけではない。そして、もし何か間違いが起きて(笑)意中の車を自分のガレージ(ウチにはないけれど)に置くことができるとしたら、488GTBは間違いなく候補に入る車だ。
どういうことかというと、フェラーリは(ポルシェもそうだが)実にわかりやすい車だからだ。誰の目で見ても、速くて高いクルマということがすぐわかる。フェラーリの独特のスタイリング、カラー、サウンド、跳ね馬のエンブレム。様々な要素がブランドをかたどるが、クルマに疎い女子であってもフェラーリが高いクルマであることは知っている。高いクルマは死ぬほどあるが、オタク的な匂いをさせずに所有欲を満たせて、誰もが納得するブランドは、スポーツカーではフェラーリがダントツだと思う。
近いサイズのフェラーリ458 Specialeが3400万円くらいだから、おそらく488GTBも4000万円以下になると想像するが、都心でもマンションを買えそうな金額を一台のクルマに払った場合、それがフェラーリ以外のクルマだったとしたら、その金額に見合う満足を、得られない気がするのだ。乗ることの楽しさ、誰かを乗せることの楽しさ、それを買ったことを誰かに伝えることの楽しさ。すべてを鑑みて考えると、どの瞬間でも高い買い物をしたという後悔をさせないだけのクルマはフェラーリだけ。あとはフェラーリよりは安いレンジにおいて同じような効果を持つポルシェくらいのように思う。
僕が大好きなBMWのM3はなんだかんだと1500万円くらいになるが、だったらポルシェ911カレラを買ったほうがメリットは大きい。どのクルマを買おうが自己満足は得られるが、上述のように、誰かを乗せる、誰かと話す、という対外的な情報の交換の際に、憮然とさせられることが必ずある。一生他のクルマには買い換えない、添い遂げるという相手ならともかく、数年後にチェンジするクルマであれば、払う金額に見合ったクルマを買うべきだ。
予算に合う中で好きなクルマを買えばいいが、本当にそのクルマしか目に入らないと思うほど惚れていない限りは、世間の評判も含めて、予算に見合うクルマを買うべきだろう。
実際フェラーリというクルマは、高い金を払い、維持費を使い、日々乗るのにいろいろと気を使わなければならない車だと思うが、それだけの労苦を惜しくないと思わせてくれるのは、持っていることのメリットがわかりやすいからだと思う。
フェラーリはもっともわかりやすい。
そしてV8エンジンを積んだ、ミドルサイズのフェラーリ488GBは、日本の公道で走り、高い金を払うという条件の中でもっともよい選択になる気がする。