と、またタイトル詐欺みたいな、大げさな前振りで申し訳ありません・・・。

皆さんは、モーターサイクルやスクーターなど、2輪車に初めて乗った日のことを覚えていますか? 飽きっぽく、いろんなことを忘れやすい私ですが、その日のことだけは生涯忘れることはないと思います。


最近、ホンダがスクーターに伝統の「タクト」の名前を16年ぶりに復活させるというニュースがありました。16年というと、0歳児が高校生なっちゃう期間ですから結構な時間ですよね・・・。16年よりさらに時を隔てた30数年前、私が初めて乗った2輪車が、まさしく1980年発売の初代タクトでした。


初代タクトは、ホンダとヤマハの間で勃発した熾烈な国内市場シェア獲得合戦、通称「HY戦争」の最中に生み出されたスクーターモデルです。1950年代の第一次国内スクーターブームに次ぐ、1980年代の第二次スクーターブームの主役のひとつです。これらの50ccスクーターたちは主婦層などの新規顧客の発掘に大貢献し、1982年の国内販売台数約300万台という未曾有の実績の一翼を担いました。


目の前に広がる「新たな世界」

実は内燃機で動く乗り物を初めて運転したのは、そのタクトではありませんでした。それよりもずっと前、子どもの頃の5年間を過ごした青森県で、耕運機で稲刈りを終えた田んぼを爆走したことがあります。私がそのタクトに乗ることになったのは、休日のとある日、父が「ちょっとバイク乗ってみるか?」と気まぐれで私を誘い出したのがきっかけでした。


そのタクトは、保険屋の叔父が営業用に使っていた1台でした。休日で仕事に使われることのないタクトを、私と父は自宅の裏の路地に運びました。思い起こせば、その時父はお酒をソコソコ飲んで、それなりにヘベレケになっていたような気がします。


画像1: 私が、世界を手中にしたその日・・・

出典:http://www.zifflaw.com/NYInjuryLawBlog/wp-content/uploads/2010/06/motorcycle-


父に託されたタクトを走らせた瞬間、目の前に広がったのは、この写真のような光景でした(※イメージ画像です)。小学校高学年の私にとって、これほどの衝撃を覚えさせる体験は過去にありませんでした。田んぼで走らせた耕運機の比ではない強烈な加速感・・・スロットルを捻るだけで、世界のすべての時間と景色が背中の方へふっとぶ・・・そのときはこのような言葉を見つけませんでしたが、世界が手中におさまるような、全身が万能感に満たされるような気分・・・を覚えました。


画像2: 私が、世界を手中にしたその日・・・

出典:http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/49/5034af605ab57629cc7aeb9ebb0f85


ちなみに実際に乗っていたのは、2ストローク50cc単気筒、3.2馬力の、このホンダタクトです(笑)。


家の裏の路地を、タクトで何回往復したでしょうか・・・回数は思い出せませんが、30分強くらい経った後、鬼の形相のお巡りさんがひとり、私と父のもとへ自転車で駆けつけました。私には目もくれず、父に詰め寄ったお巡りさんは、「お父さん、あなたねぇ・・・(以下略)」と激怒。酔った赤ら顔の父が「いやぁ申し訳ありません」を何度か繰り返した後、怒り静まらない面持ちのままお巡りさんは去って行きました。


それまでは昭和40年代生まれの「スーパーカー・ブーマー」世代ということもあって、モーターサイクルなんて特に興味なし、クルマ・ZOKKON命(ラブ)な私でしたが、この日を境にクルマ派から転向しモーターサイクル・ZOKKON命に(笑)。中学生になるころには「免許が取れる16歳になったら、ソッコー乗るぜ!」と思い込むようになりました・・・。それほどまでに、私の2輪車初体験は強烈なものでした。


今もモーターサイクルにまたがる時、そんな遠い日のことをふと思い出したりします・・・。でも、その日のような万能感は、未だ感じ得ずに今日に至っています。あの日の思い出を引きずったままでいる私は、未だにあの感覚を再度体験したいがために、飽きることなくモーターサイクルに乗っているのかも・・・そんなことも思ったりします。


余談ではありますが、先日、入院中の父を病院に見舞ったとき、その数日前に出場した草レースで優勝したことを報告しました。口腔の手術をしたため、話をするのもままならない父は、ノートにスラスラと走り書きをしました。「もう、危ないからオートバイ卒業しろ・・・」。ミミズがはったような字で書かれたそのメッセージを見て、アタマに浮かんだのは「最初に引きずりこんだのはアナタじゃん・・・」。言葉にして父に伝えはしませんでしたけどね(苦笑)。


出典:soikll5

そんな過ぎ去りし日への懐かしさもあって、1980年代当時のスクーターのCMをご紹介いたします。10分くらいの動画ですが、国内外の芸能人がいろいろ出ていたり、当時の風俗がうかがい知れたり、飽きさせないです。お時間ある方は是非ご覧ください。

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