3月24日、7度のマン島TT勝利、4度のTT-F2世界選手権獲得など、輝かしいキャリアを積み上げたロードレースライダーのトニー・ラッターが78歳でこの世を去りました・・・。
ドゥカティとともに栄光の時代を築く
1941年生まれのT.ラッターは、20歳のころからロードレースを開始。初のTT参戦は1965年で、そのとき彼は23歳でした。初TTの成績はジュニアクラス(350cc)で46位という平凡な内容でしたが、1968年にはジュニアで13位、1969年は同14位、そして1970年には同5位と、年々着実に実績を上げていくことになります。
1972年のTTではジュニアクラスでG.アゴスチーニに次ぐ2位となり、キャリア初のTTおよび世界ロードレースGP(現MotoGP)の表彰台を記録。そして1973年にはついに、初のTT勝利をジュニアクラスで達成しました。
その後もTTで活躍を続けたT.ラッターは、1973年から1985年の間に出走した83のTTレースで51回完走を果たし、7つの勝利と20度の表彰台登壇を成し遂げ、最も成功したTTライダーのひとりに数えられることになります。
優れたオールラウンダー
またT.ラッターは、史上初のハットトリック(1974年)を含む9勝をノースウェスト200で記録し、1981年から1984年の間、ドゥカティのワークスライダーとしてTT-F2世界選手権を4連覇を果たしています。これら実績から、公道を使う"リアル・ロードレーシング"の英雄としてのイメージが強いT.ラッターですが、1971年には350ccクラスで、1973年には250ccクラスで英国選手権王者(ともにヤマハ)になるなど、ショートサーキットでも速さをみせる、オールラウンダーとして優秀な選手でした。
最近T.ラッターは体調を悪くして床にふせていましたが、父の死を看取ったマイケルによると彼の臨終はとても穏やかなものだったとのことです。偉大なるチャンピオンの魂が、天国で安らかな眠りにつかれますよう、 心からお祈りいたします・・・。