何気ない1日。愛車とともに気軽なツーリングに出かけた彼女を待っていた、気恥ずかしいハプニングとは?
オートバイ2019年4月号別冊付録(第85巻第6号)「Intersection」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部

休憩している私の前を通り過ぎていく車やバイクたち

ようやく取れた休暇。私は愛車のVTと共にふらりと気軽なツーリングに出かけた。
走り疲れたわけでもないけれど、ちょっと路肩にバイクを停めて、通り過ぎるバイクや車を見ていると、これがなかなかに面白い。

ドライバーやライダーたちは、惚けたような表情で座っている若い女の子(私だ)を、不審な表情で一瞥しながら走り去っていく。中には私が転びでもしたかバイクが故障でもしたのかと、心配げに声をかけてくれる人もいて、その優しさが嬉しくもあったのだけれど、少し気まずくもあって、それが私を再び走り出させた。

オフモードになっていた私は、一人静かな秘湯を探し当てて・・・

特に目的があってきた場所ではないけれど、このあたりには秘湯が多いことは知っていた。
走り出してはみたものの、長いこと休憩していたことで私の気分は既に少しオフモードになっていた。だから野生の動物でもいそうな鄙びた温泉を見つけると、私は早速一浴びしようと向かったのだ。

思った通り誰もいない。
私はそそくさと裸になると、少し熱めの湯に浸かり、さっき行き交う車やバイクたちを眺めていた時と同じような惚けた顔で森の木々を眺めた。

そのときだった。

「あの〜っ」という男性の声が私をいきなり現実に引き戻した。

でっ!

え?混浴だったの?てか、誰かいたの!?
私は慌ててタオルをひっつかんでカラダを隠そうとした。

そこにいたのは、さっき私の前を行きすぎていった男性だった??

HONDA VT250 FC SPECIFICATION

■エンジン:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ ■ボア×ス ト ロ ー ク( 排 気 量 ): 6 0 × 4 4 mm ( 2 4 8 cc ) ■ 最 高 出 力 : 3 5 ps/11000rpm■最大トルク:2.2kg-m/10000rpm ■ミッション:6速リターン ■燃料タンク容量:12L ■全長×全幅×全高:2000×750×1175mm ■ホイールベース:1385mm ■タイヤ前・後:100/90-16・110/80-18 ■ブレーキ前・後:油圧ディスク・機械式ドラム ■乾燥重量:149kg ■発売当時価格:39万9000円