年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき映画を紹介。今回の100分の1の映画は、世界のトレンドになりつつあるヴィランブームの決定版『ヴェノム』。
1977年生まれの英国人俳優トム・ハーディ主演。

話題の『ヴェノム』、早速観てきた!前評判通りの見応えあるアクションと巧みなストーリー展開に、始まってすぐ引き込まれること間違いなしの一作だ。主人公を演じるトム・ハーディも相変わらずの男臭さ全開で、草食男子・絶食男子を軒並み吹っ飛ばす、文字通りの肉食男子ぶりを発揮している。

映画『ヴェノム』6秒バンパー<ヴェノム編>(11月2日公開)

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スパイダーマンシリーズのヴィラン(悪役)を主人公にしたスピンオフ作品

マーベルコミック最大の人気者スパイダーマンの最大の仇敵として登場し、その凶悪な容貌と凄まじいばかりのパワーで数多くのファンの心を掴むスーパーヴィラン、ヴェノム。そのヴェノムをダークヒーローとして描いたのが本作。スパイダーマンシリーズのヴィランでありながら、本作にはスパイダーマンの存在は全く描かれていない。(登場しないだけでなく、存在自体にまったく触れない)

本作では、トム・ハーディ演じるスクープ記者エディ・ブロック(原作にも登場)に宇宙生命体シンビオートが寄生することでヴェノム(というか、エディに寄生したシンビオートの名前がヴェノム)となる。シンビオートたちは知性があり、人類を捕食するために地球にやってきたが、地球上で生命を維持するには人間を含む動物を宿主として寄生しなければならない。しかし宿主との相性が合わないと宿主が拒否反応を起こして衰弱死してしまう(輸血や臓器移植の感覚に近い)。

エディとヴェノムの場合は奇跡的に相性が良く、当然ヴェノムは宿主としてのエディとの共生を強く望み、エディも戸惑いながらもヴェノムが持つパワーや不死身性に魅力を感じ、共生を受け入れていく。

そんな彼らをつけ狙うのがライフ財団。彼らこそが宇宙からシンビオートを地球に運び入れた(シンビオート側からすれば、招き入れた)張本人。彼らはシンビオートを人間に寄生させることで地球外でも活動できる新たな人類を作り出そうとしていたのだ。
ライフ財団の実験施設の中で人体実験を繰り返したが、なかなかシンビオートを受け入れることができる人間を見つけることができず、シンビオートと人類の融合を実現させる糸口を掴むことができずにいた。そんなとき、財団の施設に忍び込み、人体実験の存在をスクープしようとしたエディに偶然シンビオートのヴェノムが取り憑いたのである。
シンビオートに寄生されても拒否反応を起こさなかったエディはまたとない生きたサンプルであり、財団はエディとヴェノムを生け捕りしようと画策する。
果たしてエディはライフ財団の悪巧みから逃れることができるのか。そして、人間を喰らうシンビオートとエディの共生は成立するのか。

ロレンス的には、終始バイク乗りとして登場するトム・ハーディのかっこよさをイチオシ

ストーリーとはあまり関係がないが、トム・ハーディ演じるエディ・ブロックは恋人とのデートにもバイク、悪人から逃れようと夜のサンフランシスコを走り回るのもバイク。ヴェノムの力を借りてのバイクアクションも最高の一言。

奇怪な姿のヴェノムは、みようによっては醜悪ともいえるが、ある意味仮面ライダー、いやハカイダーに通じる、バイクにまたがったダークヒーローの象徴として成立するカッコよさ。考えてみればトム・ハーディはマッドマックスの主演も演じているわけだし、バイクが本当によく似合う。

バイクに乗ったスーパー(ちょいワル)ヒーローの登場は、拍手喝采して歓迎すべきことだろう。

また、「うしおととら」や水木しげるの「悪魔くん」にも似た、正義感の強い人間と悪魔のバディムービーという路線は、実は日本人には受けるのではないかとも思った。