春から自転車からオートバイに乗り換えた18才の少年が選んだ相棒は SUZUKI GSX-S125だった。
テントを積んで初ツーリングに出たはいいが、悪天候に見舞われて・・・それでも心はピーカンの18才の胸に去来するものとは??
オートバイ2018年5月号別冊付録(第84巻第8号)「Spring On」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
テントを積んで初ツーリングに出たはいいが、悪天候に見舞われて・・・それでも心はピーカンの18才の胸に去来するものとは??
オートバイ2018年5月号別冊付録(第84巻第8号)「Spring On」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
初ツーリングで思いもよらない悪天候に見舞われた僕
よりによってこんな暴風雨になるとは思いもしなかった・・・。
ふと思い立って買ったSUZUKI GSX-S125。小さくて軽い。だけど走り出せば安定感があって、どんな局面でも安心できる操縦性。普段の足にもツーリングにも使えると思って買った、初めての新車。
その相棒とともに初めて泊りがけのツーリングに出たぼくだったが、まさかの悪天候の中テントを張ることになったのは運が悪いのか、それとも思い出づくりとしちゃあ当たりだったのか(苦笑)。
風の中を駆け抜けていった女性ライダーの背中を見た時、なぜかバイクに乗ろうという気分が僕の胸におりてきた
激しい豪雨がテントの布を容赦無く叩く音を聴きながら、僕はそそくさとカップ麺で夕食を済ませ、寝袋に入った。
僕は去年までは自転車にハマっていた。野宿の道具を積んで、いろいろなところを走り回っていたんだ。
それが急にバイクに目覚めた理由・・・いや、理由というにはとても儚いというか淡い気分で、説明するのも若干恥ずい。小休止をしていた僕の横を駆け抜けていった一台の華奢なバイク。ライダーは女性で、白いメットから長い髪がたなびいていた。
その後ろ姿を目で追ったとき、僕はバイクに恋したのさ。
恋した相手はGSX-S125
そうさ、春の恋をしたのさ、あのバイクに。
僕は母親に懇願して、同じバイクを買ってもらった。そう、GSX-S125だ。
高校を卒業し、春からは東京で大学生活が始まる。維持費の安い125ccはどこに行くにも便利だから、という理由で母を説得した僕は、首尾よくGSXを手に入れた。へへっ。
そして今日、初のツーリングに出てきた、というわけさ。
あいにくの天気だけど、僕にはそれほど気にならなかった。目をつぶれば、あのときの彼女の後ろ姿が浮かんでくる。
明日になればきっと晴れる。そしたら僕も、風になるんだ。あのときの彼女のように。
GSXと一緒に、どこまでも走れるさ。
"僕"の冒険の顛末は、本誌でどうぞ