先日、時速1,000マイル(約1,600km/h)に挑戦するブラッドハウンドSSCの記事をご紹介しましたが、はたして人間が乗った乗り物で一番速いモノって何か・・・ということに興味ありませんか? 

なお2輪の最速車は、マッハ0.5にも達しておりません・・・

まず、ブラッドハウンドSSCの記事は ↓ になります。

我らの愛する2輪車部門では、アメリカのアック・アタックが世界最速の地位についております。マイク・アカティフが率いるアック・テクノロジーが産み出した「アック・アタック」は、ギャレット製ターボチャージャーを備えるスズキ隼1,300ccエンジンを2機搭載。最高出力1,000馬力以上!をマークし、2010年にはロッキー・ロビンソンの操縦で、時速376.363マイル(605.698km/h)を記録しました。

The Fastest Bike in the World - cockpit view

youtu.be

こちらはアック・アタックのオンボードカメラですが、ちょっと狭くて怖くて乗るのが恐ろしいです・・・。しかし・・・やはり内燃機関の2輪車では、ジェットやロケットが主流の4輪速度記録車には歯が立たないですね。現在4輪最速のスラストSSCは、1,227.985km/hと音速を超えていますので・・・。2年前、トライアンフはガイ・マーチンをライダーに起用しアック・アタックの記録越えに挑みましたが、あえなく失敗したのは記憶に新しいですが、新たな挑戦者の登場に期待しましょう!

速いって言ったら、やっぱりヒコーキでしょ!?

大気圧で地上を這うクルマよりも速い乗り物といえば、やっぱり空飛ぶ飛行機ですね。有人飛行の記録ですと、ロケットエンジンとジェットエンジンで分けられており、前者はノース・アメリカンX-15A-2(7,270km/h、1967年、ウィリアム・ナイト搭乗)、後者はロッキードSR-71A ブラックバード(3,529.56 km/h、1976年、エルドン・ジョアーズツ/ジョージ・モーガンJr.搭乗)となります。

ダミーのラムジェットとシールド・アブレーティブ塗装のテスト飛行をするX-15A2の勇姿! マザーシップのNB-52Bに釣り下げられて離陸し、上空で切り離されてから飛行する方式を採用していました。

en.wikipedia.org

独特の形状をもつSR-71ブラックバード。なおブラックバードの名前は、ホンダがメガスポーツとして企画した1996年のCBR1000XXスーパーブラックバードにも用いられましたね。

en.wikipedia.org

Blackbird SR 71 Nothing But Pratt Engine Sound

youtu.be

最速記録はダントツの39,897km/h・・・なんと秒速11.08kmです!

では・・・一番速い有人の乗り物の記録は・・・半世紀近く前の1969年に記録されたものです。それは39,897km/hを月からの帰還時にマークした、月探査船であるアポロ10号のCSM(コマンド/サービス・モジュール)の"チャーリー・ブラウン"です!

アポロ10号のCSM"チャーリー・ブラウン"。アポロ10号のオペレーションは、初めてカラーのTVカメラで撮影されました。なおサービス・モジュール部は大気圏に突入する前に切り離され、コマンド・モジュール部のみが地球に帰還する仕組みでした。

en.wikipedia.org

乗務員のトーマス・スタッフォード、ジョン・ヤング、ユージン・サーナンの3人が、文字どおり「世界最速の男たち」ということになるわけですね・・・。それにしても秒速11.08kmって、いったい身体にはどのような速度感として伝わるのでしょうか? 想像もつきません・・・。

面白いのは、地上を走る4輪のスラストSSCが1997年、2輪のアック・アタックが2010年と比較的最近?の記録なのに対し、空と宇宙での速度記録のほうはいずれも結構昔の記録・・・ということです。まぁこれらの乗り物は絶対地上速度記録挑戦車とは違って、主目的が「最速の追求」ではないですからね・・・(X-15は速度記録も大事だったでしょうが、あくまで主目的は有人宇宙飛行の技術開発のための各種データ収集でした)。

またX-15、SR-71、そしてアポロはいずれも国家的プロジェクトなので、おいそれとそのような巨額を要するプロジェクトが行われるものではありません。でも「最速」というテーマはやっぱりロマンがあって魅力的であり、いつの時代も変わらない価値のひとつでしょう。いつの日にか、各分野の記録更新のニュースをお伝えできればいいなぁ・・・と思います。

1969: Apollo 10 (NASA)

youtu.be