ザ・ビートルのオフロード仕様であるデューンにアムステルダムの郊外で試乗することができた。このモデルはすでに日本においても500台限定で発売が開始されているが、その印象をさっそくお伝えしよう。(Motor Magazine 2016年8月号)

大型のリアスポイラーとアンダーガードが目を引く。ザ・ビートルらしからぬ(?)迫力だ。

 試乗会はオランダ・アムステルダム近郊の北海に面したリゾート地、ノールトウェイクで開催された。すでに日本導入もアナウンスされている。日本仕様は右ハンドルの1.4TSI+7速DSGでボディはクーペのみ、ボディカラーはサンドストームイエローメタリックだ。
 今回ハンドルを握ったのは、左ハンドルのヨーロッパ仕様だ。日本では限定モデルだが、本国ドイツでは「R-ライン」などとともに、ひとつの仕様として設定されている。多彩なバリエーションがあるザ・ビートルの中でも際立って個性的だ。

Dune専用メーターなどが装備され、全体にアクティブなイメージに仕立てられたインパネまわり。

 エクステリアには専用前後バンパーやアンダーガード、ウェーブデザインのエアインテークグリル、ブラックのオーバーフェンダーモール、新デザインのLEDリアコンビランプ、大型のリアスポイラーなどを装備する。足まわりには専用の18インチアルミホイールを装着し車高は10mmリフトアップ、全幅も14mmワイドで、オフロードテイスト溢れるクロスオーバースタイルを手に入れている。
 インテリアにもサンドストームイエローのパネルや、同じくイエローのステッチ、専用メーターパネルなどが奢られ、アクティブな雰囲気に仕立てられている。

最高出力150ps、最大トルク250Nmの1.4TSIエンジン。このボディにしては必要にして十分なパワー。

 今回はまず日本にも導入される1.4TSI+7速DSG仕様のクーペのキーを受け取り、アムステルダムのスキポール空港からノールトウェイクへ向かった。走り出してまず感じたのは乗り心地が良いことだ。18インチの大径アルミホイールに235/45R18タイヤを装着し、トレッドも広がっていることで、標準モデルよりも突き上げがソフトで、フラットな乗り心地になっている。車高が高くなっていることもあり、ハンドリングはややゆったりした印象だが、決してダルではない。
 動力性能的には1395kgの車両重量に対して最高出力150ps、最大トルク250Nmと、とくにパワフルではないが、街乗りやクルージングには必要十分以上のパフォーマンスを有している。海沿いのルートをゆったり流すようなシチュエーションにはピッタリだと感じた。
 また今回はカブリオレにも乗ることができた。残念ながらこれは日本に導入されないが、やはり欧州の気候の中でルーフを開けると気持ちいい。ドイツではビートルの3台に2台がカブリオレというのも頷ける。デューンのおおらかな雰囲気にも、よりマッチしているように思えた。(文:木村好宏/写真:Kimura Office)