疲れたな、と感じたら、クラゲのようにぷかぷかと流れに身を任せてごらん・・。

「そうすると、ある日突然からだが軽くなり、すーっと海面に上がれるときがくるものだよ」
これは、わたしが尊敬している方から教えていただいた教訓です。その方自身がまだ若くて駆け出しのときに、ある人に言っていただいた言葉であり、いまでも胸に刻み込まれた、大切な教えなのだそうです。

クラゲのように流れに身を任せていればいい、と言っても、それは「棚から牡丹餅」を期待せよ的な意味ではありません。

本当に辛いことが起きて、身も心も疲弊してしまったときは、無理にもがくと余計苦しくなってしまうものです。だから、そんなときは、むしろ肩の力を抜いて、「〜しなきゃ」から離れて、自分を楽にしてあげる。自然と徐々にエネルギーが湧いてきて、また困難に立ち向かう元気が出るまで待てばいいのです。
と、いうより、必ずいつかは元気が出るものだから、気楽に待っていればいいんだよ、というとても優しい言葉なのです。

お気楽な言葉に聞こえるかもしれませんが、この教えのおかげで、わたし自身も幾度か救われることがありました。だから、読者のみなさまにも、今度はわたしから、この言葉をお贈りしたいと思うのです。

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自分に厳しすぎないようにすることも、時には大切


その方はKさん、と言います。Kさんは、その若かりし頃、仕事に追われる毎日を送っており、とても疲れ切っていたのだそうです。


元来頑張り屋のKさんは、疲れている場合じゃない、もっと頑張らなきゃ!!と自分を奮い立たせて、必死に働きました。しかし、伸びきったゴムがやがて柔軟さを失い、時として切れてしまうように、Kさんは突然気力を失い、鬱状態に陥ってしまったのだそうです。

それまでどんなに忙しくても、前向きな気持ちを忘れずに毎日を過ごしていたはずでした。それが、あるときから何をするにも面倒くさく、無気力な状態になってしまったことに、Kさんは我がことながら信じられない想いを抱いたそうです。そして、勤めていた会社の社長に、自分が陥ってしまった突然の鬱な症状について、正直に告白し、自分がどうしたらいいのか、相談しました。

「甘いことを言っているんじゃない!」

自ら相談しながらも、Kさんは社長からそのように一喝されることを覚悟していました。
ところが、社長からの言葉はKさんの予想を大きく裏切る、とても穏やかで優しいものでした。
それが、冒頭で紹介した「クラゲのように流れに任せてぷかぷかしてればいいさ。気楽にな」という言葉だったのです。

海に浮かぶクラゲ

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Kさんは、その言葉を聞いただけでとても気持ちが楽になったそうです。
それからKさんはしばらく仕事を休み、毎日好きなように過ごしていました。すると突然、また頑張ってみようかな…と自然にからだが動くようになり、そのうち、自然に以前のKさんに戻ることができたといいます。


実際、人間の脳は、何も考えずにぼぉっと過ごしているときにこそ、効率的に整理されるということは科学的にも証明されています。


つまり、Kさんは、仕事を休んで、嫌だったことを忘れられたおかげで、体力も回復して元気になったのではなく、自分がなぜ追いつめられていたのかを自分の頭で整理し、受け入れる時間を作ることが出来たからこそ、また元気に毎日を送ることが出来るようになったのだと思います。

忙しく働いてばかりいるわたしたちが、長期間仕事を休むことは難しいことですが、適度にリラックスをして自分と向き合う時間を作ることはとても大切です。瞑想や座禅などが流行っている理由も、そこにあるのではないかと思います。


ロレンスをお読みの皆様は、どちらかというと頑張り屋さんで、一生懸命働いている方が多いのではないでしょうか。
だからこそ、このコラムを通じて皆様に訴えたいのです。張り詰めたカラダとココロを緩めて、クラゲを真似てみませんか。

一生懸命頑張って、前向きに生きていくことの大切さは重々承知していますが、心が悲鳴をあげる前に、たまにでいいので、少し仕事を離れて、クラゲのように、流れに任せてぷかぷか浮かぶように気ままな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

たまにでいいのです。そんな習慣が皆様の心を少しでもほぐせるとしたら。このうえない幸せに思います。