ホンダは小型の作業機用動力源として、電動(DC)パワーユニットの「eGX(イージーエックス)」のOEM供給を2021年6月より開始します! ところで作業機用動力源って、一体どんなことに使われているのでしょうか・・・? 

人々の暮らしに役立ってきた汎用エンジン

作業機用動力源・・・と言われてもピンとこない、という方も、「汎用エンジン」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか? 広くいろいろな方面に用いること・・・という「汎用」の語義のとおり、汎用エンジンは自動車用とかモーターサイクル用とか用途が決まっているわけではなく、広い用途に使うことができるエンジンなのです。

汎用エンジンには工場内などに設置する大型の定置型もありますが、それらに比べるとまだ多くの人に馴染みがありそうなのが、可搬型ICE(内燃機)の汎用エンジンでしょう。その主な用途といえば、脱穀機などの農業機械、発電機、水汲みポンプ、噴霧器・・・などの動力源です。

ホンダは創業間もない1952年の「H型」を皮切りに、今まで数多くの2ストロークや4ストロークの小型汎用エンジンを作ってきました。今から10年前の2011年には、ホンダ製汎用エンジンの累計生産台数は1億台を突破! 日本だけでなく、世界中の多くの人々に愛されています。

画像: ミキサーの動力として活用される、1963年デビューのホンダG30型。3馬力を発生する、サイドバルブ式の4ストローク171cc単気筒エンジンを採用していました。 ja.honda-powerproducts.com

ミキサーの動力として活用される、1963年デビューのホンダG30型。3馬力を発生する、サイドバルブ式の4ストローク171cc単気筒エンジンを採用していました。

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今年6月より国内で、OEM供給が開始される電動(DC)パワーユニット「eGX」は、さまざまな機械の動力源を務めるために生み出された製品です。欧州や米国などへ順次供給地域を広げていく予定の「eGX」は「ゼロエミッション」なのが最大の特徴ではありますが、トンネル内や坑道内など換気が困難な場所や、夜間や住宅地などの騒音を回避したい使用環境でも使えるという、ICEの汎用エンジンにはないメリットも有しています。

発電機開発で培った技術を活かした、高性能モーターを搭載

また「eGX」は、ICEの汎用エンジンを使う前に必要な始動操作が不要で、スイッチをオンにするだけで使えるのも手軽で良いですね。またICEに必要な各種整備、オイルなど消耗品交換、そして燃料などの液モノや排気による清掃作業が不要なのも、電動ならではの有り難さでしょう。

ICEの燃料補充・・・にあたる着脱式リチウムイオンバッテリーパックへの充電ですが、80%までなら約60分、100%満充電なら約90分(バッテリー状態、使用環境によって変動)。連続運転時間は用途を問わずICEの圧勝でしょうが、長時間運転させないのであれば電動の「eGX」の良さが光るシーンも多いでしょう。

一体型電動パワーユニットの「GXE2.0H」は、全長294×全幅353×全高420mmで、重量は25.0kg(バッテリーパック含む)。バッテリーパックは、 72Vで720Whというスペックです。

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画像: 三相ブラシレスDCモーターの定格出力1.6kW/3,600rpm、最大出力1.8kW/3,600rpmです。ホンダの長年にわたる発電機開発で培った巻線技術が活用されており、密閉構造を採用した高剛性モーターのため、建機用途にも耐えうる耐振動性と耐塵性を備えています。 www.honda.co.jp

三相ブラシレスDCモーターの定格出力1.6kW/3,600rpm、最大出力1.8kW/3,600rpmです。ホンダの長年にわたる発電機開発で培った巻線技術が活用されており、密閉構造を採用した高剛性モーターのため、建機用途にも耐えうる耐振動性と耐塵性を備えています。

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画像: セパレート型の「GXE2.0S」はコントロールユニットが全長351×全幅299×全高251mm(バッテリーパック含む)、モーターが全長233×全幅224×全高194mmというサイズ。重さは22.9kgです。 www.honda.co.jp

セパレート型の「GXE2.0S」はコントロールユニットが全長351×全幅299×全高251mm(バッテリーパック含む)、モーターが全長233×全幅224×全高194mmというサイズ。重さは22.9kgです。

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そのほかの「eGX」の特徴としては、汎用エンジンのベストセラーである「GXシリーズ」のGX(R)100/120と、フランジ取り付け穴およびシャフトの寸法を同じにして、互換性を与えていることです。

画像: ICEのホンダGX120。122ccの空冷4ストロークOHV単気筒を搭載し、定格出力2.4 kW、連続定格出力2.1 kWをともに3,600 rpmで発生します。重量は13.2 kgです。 www.honda.co.jp

ICEのホンダGX120。122ccの空冷4ストロークOHV単気筒を搭載し、定格出力2.4 kW、連続定格出力2.1 kWをともに3,600 rpmで発生します。重量は13.2 kgです。

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草ロードレース趣味の人は、"アレ"の動力源に使うってのはどうですか?

ホンダのGXシリーズといえば、レンタル/ホビー向けのカートの動力源としてもおなじみですね。もっともその用途には、60cc・3.6 kWのGX160や4.3 kW・200ccのGX200が使われるので、「eGX」に積み替えても出力不足で遅くてダメでしょうね・・・。

それでは、草ロードレース好きにはおなじみの「エンジンスターター」にはどうでしょうか? 汎用エンジンのシャフトにカート用ホイールとタイヤを取り付け、それをセルスターターのないロードレーサーの後輪に押し付けて、押しがけの原理でエンジン始動させるアレです。

画像: ストライカーで受注生産・販売しているエンジンスターター。価格は170,500円(税込)です。 www.striker.co.jp

ストライカーで受注生産・販売しているエンジンスターター。価格は170,500円(税込)です。

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実は私、クラシックレーサー用にエンジンスターターを所有しています。それに搭載されるホンダGX120(122cc・2.4 kW/3,600 rpm)では、500cc単気筒のエンジンを始動させることができますが・・・最大出力1.8kW/3,600rpmの「eGX」ですと、ちょっとキツいですかね?

画像: Manx Norton start up youtu.be

Manx Norton start up

youtu.be

将来、「eGXシリーズ」がより小型軽量化され、より高出力化される日が来たら、ぜひともそれを使って「地球に優しいエンジンスターター」を自作したいですね! もっともそれで始動させるのが、不要不急のお遊び用のクラシックロードレーサーっていうのが・・・どうもスミマセン、と今から謝らせていただきます(苦笑)。

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