河原良雄
自他共に認めるホンダマニア・元Motor Magazine誌編集部員のフリーランスライター。
連載:ホンダ偏愛主義
ホンダ S2000は話題が満載
ホンダ創立50周年記念車として1998年9月に発表、翌1999年4月に市販されたS2000。S800以来のFRオープンスポーツで、9000rpmまで回る最高出力250psのF20C型直4DOHCをフロントアクスル後方にマウント、高剛性のハイXボーンフレームを採用、クロスレシオの6速MTオンリー、6秒で開閉可能なソフトトップなど話題は満載。ホンダファンなら、とくとご存じに違いない。で、今回はそのS2000のオプションをチェックしてみる。
まずはメーカーオプションだったBBS製鍛造アルミホイールである。デザインはなぜか6本スポークで、サイズはフロントが6.5×16、リアが7.5×16となっている。純正の鋳造5本スポークも同サイズながら、カタログには「BBS製にすると計8kgの軽量」とある。バネ下には諸説あるが「下の1kgは上の5kg以上に相当する」というのが一般的。
となればBBS製を履けば40kg以上のボディ軽量化を実現できると言うことになる。ヨーロッパロケを敢行したカタログに登場するのはすべて6本スポークで、純正5本は最後のカラーリング紹介のフルラインナップの見開きのみ。
アクセサリーカタログにはディーラーオプションを掲載。注目はエアロパーツだ。まずはフロントアンダースポイラー、各色5万円。「トータルで効果発揮」とあるが、フロントタイヤハウス前のストレーキとセットと謳う。
今や軽自動車にも備わるアンダーフロアの整流板たるストレーキはこの頃から注目されるようになる。さらにリアタイヤハウス前方サイドと床下内側に配するリアストレーキ、各色3万6000円も用意する。そしてトランクエンドに配するトランクスポイラー、各色5万円をもってしてエアロパーツを終える。計13万6000円はボディ同色を考慮すれば、すこぶるリーズナブルな価格設定だったと言える。
さらにカタログを読み進めると、ソフトトップカバーの5万5000円と、ウインドディフレクターの2万円が登場する。前者は畳んだトップをきれいにカバーしてボディと一体感をもたらすもので、後者はオープン走行時に後方からの風の巻き込みを防止するものだ。
意外だったのはチタン製シフトノブの1万5000円とブレーキパッドの4万600円。シャープな効きとハードな仕様にも耐える、とあるが「ならば標準で」と思うのも当然だろう。当時のS2000は1クレードで338万円のワンプライス。それだけに機能パーツの標準装備は容易にできたはず、とも思う。
S2000は2005年11月にエンジンを北米向けの2.2Lで242psのF22C型に換装。トルクフルでスタート時をはじめ格段に乗りやすくなった。S2000の型式は前期の2LがAP1、後期の2.2LがAP2で、09年9月に国内は2万台ほどで販売を終了。現在の中古車価格は希少ゆえプレミアムが付いて新車価格以上は当たり前となっている。でも社外パーツが豊富にあるので手を入れるには困らない。それが絶版ホンダ製スポーツの嬉しいところだ。