タイトルトップに並んだ2本のアルミホイールを、ご覧いただきたい。優美なRを描くY字型の7本変形スポーク、精密な加工技術の粋を実感させる肉抜き処理など、一見して明らかな相似性を感じさせることが、おわかりだろう。
実はこの2本、日本とドイツ、ふたつの国に拠点を置く「BBS」ブランドがそれぞれリリースしているもの。サイズの違いやセンター部分の処理など、細部で異なっているものの、基本デザインはほぼ同じ、と言っていい。
だからと言って、どちらかがよくできた「そっくりさん」というワケではない。製造しているのは、左の「RE-V7」が富山県高岡市に本社工場を有するBBSジャパン、右の「CH-R」が、ドイツ南西部のシルタッハに拠点を持つBBS GmbH、通称BBSジャーマニーである。
![画像: RE-V7 ◎ BBS Japan 鍛造らしいエッジの利いた存在感。スポーク部がより細身で、全体的に足が長く見える。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/e6e90d041e0816b16858ac86226bc8cdf5e0ecc2_xlarge.jpg)
RE-V7 ◎ BBS Japan
鍛造らしいエッジの利いた存在感。スポーク部がより細身で、全体的に足が長く見える。
![画像: CH-R ◎ BBS Germany 鋳造のCH-Rは、同じ7本クロススポークでも、エッジ感がやや穏やかつおおらかな印象。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/ee45760c658ecdb41ececeb43a71a53bf5558d0b_xlarge.jpg)
CH-R ◎ BBS Germany
鋳造のCH-Rは、同じ7本クロススポークでも、エッジ感がやや穏やかつおおらかな印象。
両社からは、ここで紹介している2本以外にも、兄弟的な商品ラインナップがいくつかリリースされている。ロゴマークだって、まったく同じだ。
![画像: CH-R ◎ BBS Germany ホイールセンターに輝く銀色のBBSロゴが、鋳造=BBSジャーマニー製であることの証だ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/0fef10b94cad07bf5d7e5ef3fda60278c7803a30.jpg)
CH-R ◎ BBS Germany ホイールセンターに輝く銀色のBBSロゴが、鋳造=BBSジャーマニー製であることの証だ。
![画像: RE-V7 ◎ BBS Japan 鍛造モデルは、センター部分のロゴが金色となる。キャップ部分の色が変わっても同色。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/b7bc10824bd4e4365acaf64b8df9e950b4d2f8da_xlarge.jpg)
RE-V7 ◎ BBS Japan 鍛造モデルは、センター部分のロゴが金色となる。キャップ部分の色が変わっても同色。
しかし取引関係こそあるものの、別資本の独立した企業体として存在している。もっとわかりやすく言えば、どちらも本物の「BBSホイール」を製造販売している、正規のメーカーなのだ。
鍛造と鋳造、製法こそ違う。 けれど 「魂」 は変わらない
![画像: CH-Rのサイズバリエーションは、18インチから20インチまで。911の他、BMW Mやゴルフ TCRなどにも似合う。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/f960edcfc164e2f50efae75e123d9088c2b4922c_xlarge.jpg)
CH-Rのサイズバリエーションは、18インチから20インチまで。911の他、BMW Mやゴルフ TCRなどにも似合う。
もともとBBSが企業として生まれたのはドイツ。1970年のことだった。現在もBBS GmbHがあるシルタッハにふたりのエンジニアが会社を設立したのが、ブランドとしての歴史の始まりだ。
やがて、日本の鍛造技術を使った製品の技術提携がスタート。日本のワシマイヤー株式会社で製造していたが、1983年に共同出資の日本BBS株式会社が設立された。その後、日本のBBSが鍛造ホイールの製造販売権を持って独立、2013年にBBSジャパン株式会社に社名が変更された。一方、ドイツのBBSは鋳造ホイールの製造販売権を持って、現在に至る。
![画像: CH-Rは、多彩なカラーバリエーションが用意されているのが特徴。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/731d1ce59bd90396e1b78549e3a9c94241d7b705_xlarge.jpg)
CH-Rは、多彩なカラーバリエーションが用意されているのが特徴。
![画像: このブラックシルクマットは「ニュルブルクリンク版」と名付けられた製品だ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/b7a85447a98568acd20fb27369fcdd92e8469d80.jpg)
このブラックシルクマットは「ニュルブルクリンク版」と名付けられた製品だ
つまり両社の製品は、デザインはそっくりでも製法が異なっているということ。ここに並んだ「RE-V7」と「CH-R」も、同じ1ピースながら鍛造と鋳造の違いがある。ちなみにBBSジャパンは鍛造製品にこだわり続けているが、BBSジャーマニーではBBSジャパン製の鍛造ホイールを自社ブランドで販売している。
![画像: RE-V7 ◎ BBS Japan](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782553/rc/2020/05/01/bbb566ac49a2119565be5235a483fea13e0042fd_xlarge.jpg)
RE-V7 ◎ BBS Japan
製法は異なっても、モータースポーツ由来の高性能と信頼性を追求するモノ作りは変わらない。
夏ごろの国内発売を予定している「RE-V7」も、日本のスーパーGTマシンの足もとを固めていたスポーツホイールの市販仕様だ。その優れたデザイン性、機能性が、本場欧州でも注目されている。
日本人としては、ちょっと鼻が高い。