学生時代から自動車関連の仕事を始め「オートバイ誌」から始まった評論活動は30年超。現在は「Motor Magazine誌」を中心に自動車の論評を執筆しているモータージャーナリスト石川芳雄氏。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員でもあり、クルマを趣味の対象としてだけでなく実用ツールとも考え、ファミリーカーとしての使い勝手や乗り心地も評価基準に加えている。そんな石川氏がホンダのSUVのルーツであり、現在に繋がるSUVのルーツと言える1台“ホンダ CR-V”に試乗。今回は2つのモーターを採用したスポーツハイブリッドi-MMDを搭載するハイブリッド、CR-Vハイブリッド EX マスターピース。その印象を報告してもらった。

ハイブリッドとの組み合わせはこのCR-Vが初
リアルタイムAWDで確かな走破性を実現

画像: ハイブリッドのWLTP燃費はハイブリッドEX/EXマスターピース FFが21.2km/L、ハイブリッド EX/EXマスターピース 4WDが20.2km/Lとなる。ハイブリッドシステムはホンダ独自の3モードを瞬時に切り替える「スポーツハイブリッドi-MMD」を採用する。

ハイブリッドのWLTP燃費はハイブリッドEX/EXマスターピース FFが21.2km/L、ハイブリッド EX/EXマスターピース 4WDが20.2km/Lとなる。ハイブリッドシステムはホンダ独自の3モードを瞬時に切り替える「スポーツハイブリッドi-MMD」を採用する。

前回に引き続き、今回はCR-VのハイブリッドのEXマスターピースを試乗した印象をお伝えする。こちらは前後のトルク配分を走行シーンに応じて調節するリアルタイムAWD。ハイブリッドとの組み合わせはこのCR-Vが初で、リアデフのトルク容量の向上が行われている。

画像: 全長4605mm、全幅1855mm、全高1680mm(4WD車は1690mm)、ホイールベース2660mmとなり快適な室内空間を実現するボディサイズだ。

全長4605mm、全幅1855mm、全高1680mm(4WD車は1690mm)、ホイールベース2660mmとなり快適な室内空間を実現するボディサイズだ。

ホンダは、現在複数のハイブリッドシステムを用意している。ただし今後は、2モーターシステムを採用するスポーツハイブリッドi-MMDに統一され、これが主流になるはずである。そしてCR-Vが採用するのは、2Lの自然吸気エンジンはもっぱら発電を行って、そこで得られた電気によりモーター駆動で走るこのi-MMDである。

静かで力強い走りと革新の燃費性能を兼ね備える

画像: 価格帯は、EX FF 5人乗り3,290,100円(税込)〜ハイブリッドEX 4WD マスターピース 5人乗り4,441,800円(税込)。

価格帯は、EX FF 5人乗り3,290,100円(税込)〜ハイブリッドEX 4WD マスターピース 5人乗り4,441,800円(税込)。

効率的にモーターが不利な高速巡航のみエンジンで直接駆動する機構を備えているものの、発進から停止までの走りの大半は電力で賄われる。で、このモーター、最高出力は184psに過ぎないが、最大トルクが315Nmとかなり太い。

ホンダは3L V6エンジン並と表現しているけれどまさにそのとおり、モーターは回り始めた瞬間から最大トルクを出すためともかく出足が軽やかだし、全域に渡って力強いトルクが感じられ頼もしい。

画像: ハイブリッドに搭載されるのは、最高出力145ps、最大トルク175Nmを発生する2L直4DOHCエンジン。それに最高出力184ps、最大トルク315Nmを発生するモーターが組み合わされる。

ハイブリッドに搭載されるのは、最高出力145ps、最大トルク175Nmを発生する2L直4DOHCエンジン。それに最高出力184ps、最大トルク315Nmを発生するモーターが組み合わされる。

しかも抜群に静か。穏やかに走っている時はバッテリーに蓄えた電力で走るEVドライブとなるし、電力が不足してエンジンが掛っても静粛性はかなり高い。

その一方で、ワインディングロードなどをグイグイ行こうとアクセルペダルを踏んで行くと、エンジン音が高まり加速感覚と絶妙なリンクを見せる。静かでスムーズなEV感覚だけを強調するのではなく、ドライバーが走りたい時にはエンジン音でパワー感を演出するアクティブサウンドコントールのチューニングはなかなかに巧みだ。

それにハイブリッドはさすがに燃費が良い。WLTCモードでは20.2km/Lというカタログ値に対し、実用燃費でも18km/Lをコンスタントに出していた。

1.5Lターボは、FFのJC08モード燃費が15.4km/Lで、実用燃費は12km/Lあたり。1.5Lターボとハイブリッドでは価格差が57万円近くあるけれど、パワーの余裕と燃費も勘案するとお勧めはハイブリッドと言えそうだ。

豊富な選択肢 ホンダらしい充実したモデル

画像: アジャイルハンドリングアシストを全車に標準装備する。これは車両の挙動を制御して正確に、そして気持ちよくコーナーを曲がれるようにする運転支援システムである。

アジャイルハンドリングアシストを全車に標準装備する。これは車両の挙動を制御して正確に、そして気持ちよくコーナーを曲がれるようにする運転支援システムである。

乗り心地は、1.5ターボ/ハイブリッドともども、荒れた路面では少し硬さも感じたけれど、おおむね滑らか。背の高いSUVのわりにハンドリングが素直で良く曲がる感覚なのは、4輪のブレーキを個別制御してヨーモーメントを作る手助けをしてくれるアジャイルハンドリングアシストの効能が大きいようだ。

このように平均点がかなり高い仕上がりのCR-Vだが、再上陸以来の国内セールスは初代のデビュー当時からライバル関係にあったRAV4が、2019年4月に国内に再登場してから破竹の売れ行きを見せているのに対して少し控えめとなる。装備を充実させたため価格がやや割高に見えてしまうのが一因かも知れないが、正直もっと評価されていいモデルだ。とくに静かで力強いハイブリッドの乗り味は白眉であると言える。

ガソリン、ハイブリッド、5人乗り、7人乗り、FF、4WDと選択肢も広く、実力を備えているCR-Vは、ホンダらしい充実したモデルだと言っていいだろう。

前回の試乗レポートはこちら

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.