意外なことにSUVにはかなり奥手だったホンダ
今や軽自動車からスーパースポーツまで、極めて幅広い商品ラインナップを揃えるホンダだけれど、意外なことにSUVに関してはかなり奥手で、1990年代半ばまでオリジナルの4WD(四輪駆動)モデルを持っていなかった。
横置きエンジンの FWD(前輪駆動車)を基本としていたホンダ車にとって、その頃の四駆の常識だったラダーフレームの車体構造や、トランスファー付き4WDなどは遠い存在。そこで当時のホンダは、ランドローバーやいすゞからOEM供給を受けてRVブームをこなしていた。
そんな状況に終止符を打つことになったのが、1995年に初代モデルが登場したCR-V。つまりこのクルマこそ、ホンダSUVのルーツと言うべき一台なのだ。
ユニークな挑戦の結果、軽快な走りと燃費性能の高さを実現
世界各国のマーケットへと進出することに
初代CR-Vは、当時のシビックの基本骨格をベースに、前輪が滑ったときにだけ後輪にもトルクを伝達するデュアルポンプ式の4WD機構を組み合わせていた。時を前後して登場したトヨタRAV4ともども、乗用車ベースのモノコックボディにシンプルな4WDシステムを搭載するというのは当時かなりユニークな挑戦だったのだけど、結果としてこれが走りの軽快さや、燃費性能の高さを実現することになり、この2台は世界的にも高い人気を獲得する。
そして気がつけば、現在のSUVはそのほとんどがモノコックボディとなった。その意味でCR-Vは現代版SUVのルーツの一台と言えなくもない。
その後のCR-Vは、世界戦略車の素質をさらに高めるために、代を重ねる毎にサイズを大きくしていった。エンジンの排気量も2Lを超えて2.4Lあたりが中心となり、海外では盤石な人気を得ていたものの、国内では売りにくい存在になりつつあった。日本市場では、2013年に登場した弟分に相当するヴェゼルが高い人気を得たこともあって、CR-Vは4世代の半ばの2016年7月に一度国内のラインナップから姿を消す。
その後CR-Vはフルモデルチェンジを受け、5世代目が北米を皮切りに世界各国のマーケットへ順次上陸。そして欧州仕様が発売された後の2018年8月から、2年ぶりの国内再登場となったというわけなのだ。