バイクなんて速くてなんぼだよ!という意見にも頷くが、同時に速さだけではなく味も大事だよと思わざるを得ない1日でした。
旧車が最高というわけではなく、思いを込めたバイクだから最高
エストレヤは空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブで249cc。最高出力20psほどの、文字通り非力なバイクだ。今回のカスタムでは、タイヤやオイルといった安全部品の交換をまず行った上で、カラーリングやシートの交換という、ライトな選択をしており、走りの強化のようなことは全くしていない。
しかし、薄いカーキというかマイルドなライトグリーンに塗り直された車体は、長くどこまでも走り続けられそうな味わいを持ち、ライダーのモチベーションをアップさせる。
ここ、モチベーションをアップする、ライダーをその気にさせる、ということは十分なチューンアップであると言えるのではないか。
翻って僕の愛車、ZIIこと、KAWASAKI 750RS。
2014年8月31日、夏の終わりに僕の下にやってきたこのバイクは、その後度々の”改造手術”を受けて、今のスタイルになっている。キャストホイールやダブルディスク、オーリンズのリヤサス採用に加え、キャブもCR29に変更するなど、それなりに性能アップに寄与するカスタムも施しているが、実際のところ最新のバイクに比べればやはりクラシック。古さを否定できないオートバイだ。
しかし、やっぱりエストレヤ同様に、ライダーをその気にさせる味わいがある。
古いだけだろ、と言うなかれ。新しいバイクにない魅力が旧車にはある、それはまあそうなのだが、新しいバイクには新しいなりの長所がたくさんあって、古いからいい、ということもない。ABS標準装備なんて最高じゃん、と思うし、大容量高性能のバッテリーを積む現代車は冬ならグリップヒーター装着したりするオプションだって選べる。
大事なことは、このバイクを大事にしよう、と思い込めることだと思う。何もカスタムしなくてもそう思えるバイクはたくさんあるし、逆に好きなようにカスタムすることで自分のモノとしての愛着が増す場合もある。乗らないでおくのではなく、徹底的に乗ってやる。他のバイクもいいなあ、などと浮気せず、俺の(私の)バイク最高!と思い込める幸せ。それを感じることが大事だし、感じさせてくれる愛車と出会える、もしくはそんなバイクに仕上げていくことが大事なことだと思うのである。
Akiko記者にとって、ライトカーキ、ライトミリタリー仕様のエストレヤがそんな一台になりますように。
そして僕もまた、一生ZIIに乗り続けられますように。
炎暑に負けず、時代に負けず、ゆっくりでも着実に、ともに走り続けたい。